クルマでは消えつつある「気筒休止エンジン」バイクでこそ普及してほしい!
本来は環境性能のためだが…二輪では信号待ちなどでの熱気対策に有効
一方、二輪車においては気筒休止システムが拡大する可能性がある。 最新のドゥカティ ムルティストラーダV4シリーズでは走行状況に応じてV4エンジン(1158cc)のリヤバンク2気筒を止める気筒休止システムが採用されている(*3)。基本的には無駄なガソリン消費を抑えて燃費改善を狙った技術といえる。その点においては、かつて四輪車において気筒休止が普及したのと同じベクトルといえるだろう。 ただし二輪車の気筒休止においては燃費改善以上にユーザーベネフィットにつながる要素がある。それは熱対策だ。 大排気量エンジンになればアイドリング状態でも発生する熱量は半端ではなく、暑い季節の信号待ち・渋滞走行などは苦行となってしまう。気筒休止によって、市街地走行における様々な発熱が少しでも抑えられれば、ライダーの肉体的負担が軽減されるからだ。 環境性能や経済性としての燃費と、ライダーの負担軽減につながる熱対策を期待できるメカニズムという点において、気筒休止エンジンの拡大に期待したい。停車中の熱対策だけに話を絞れば、アイドリングストップ機構を備えたほうが効果的かもしれないが、高圧縮比エンジンの再始動に伴う騒音などを考えると、気筒休止を普及させるほうが現実的ではないだろうか。 *3ドゥカティは2020年に登場したパニガーレV4のV4エンジンに気筒休止システムを採用。基本的に停車時のみ機能するものだったが、2023年モデルのムルティストラーダV4ラリーで走行中の気筒休止が可能に。2025年モデルのムルティストラーダV4(写真)にも同システムが採用されている。 レポート●山本晋也 写真●ホンダ/三菱自動車/ドゥカティ 編集●上野茂岐