日本人には理解しがたい?クリスマスの足音が聞こえるこの時期、ニュージーランドの人々が探す「ハウスシッター」とは?【現地バイヤーが解説】
ニュージーランドでは春ですが、そろそろクリスマスの話題が口にのぼる季節になりました。今回はここオークランドでは「あるある」の家をスワップ(交換)する習慣についてお届けします。※本記事では、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
オークランドでは当たり前の「ハウスシッター」
小雨が降り、気温の低い日もあれば、晴天の朝、春のあたたかさを感じられる日もある。学校がホリデイへと突入したためか、街の通りは少し静か。人々の会話はもう、クリスマスを話題にする時期となりました。 弊社でも、クリスマスパーティーの日時が発表され、出欠の集計などをしていました。ラストスパートで営業強化して、1戸でも多く売れるよう気合を入れる時期でもあります。 このクリスマスホリデイの時期には、自宅を1~2か月留守にする人も多々いるので、(ベビーシッターはよく耳にしますが、)「ハウスシッター」を探す時期でもあります。 日本では、あまりなじみがないと思いますが、ここオークランドでは、家をスワップ(交換)することがどうやら普通の習慣のようなのです。(昔、オークランド以外に住んでいる親戚がオークランドにホリデイに来るため、オークランドに住んでいる家族が、その地方の家に行くことがありました。 なかなか日本人の私としては、理解しがたい習慣。 実は新婚当時、我々夫婦が日本へ6週間一時帰国する際にも、「あら、ちょうどいいわ」と、親戚の夫婦がハウスシッターとして立候補してきたのです。私は驚いて、「No Thank you」と回答。夫は、自分で断りづらかったのか、私に回答させるという当時の苦い記憶が思い出されました。 そしてなんと今年のクリスマスにも、親戚のご夫婦が半年近くNZを留守にするとのことで、ハウスシッターを探しはじめたようです。 オークランドには、ホテル予約サイトのようなハウスシッター専用のウェブサイトがあります。彼らは今回そのサイトを通して、全くの赤の他人、それも、イギリスからのツーリストをハウスシッターとして迎え、家を貸し出す、というのです。 全く会ったことのないイギリス人ご夫婦。もちろん、そのウェブサイトで予約された人なので、身元はちゃんとしているのだと思いますがキレイ好きなご夫婦なのか? そうでないのか? 住み方など性格を全くわからないまま、親戚夫婦は予約を受け入れたのです。 そしてこの週末、親戚夫婦が予定より早くオークランドに戻ったため、ツーリストに急遽出ていってもらうことに。イギリス人夫婦はそれを心よく了承してくれ、車でやってきて鍵の引継ぎも終わったとのことです。 それを聞いて、私はまた驚きました。家で引き渡しをせず、家の内部の確認もしないまま、鍵を受け取り、別れるのか! と。もしも家に問題があったらどうするのか? それにも関わらず彼らは、すぐに自宅に戻らず、数日オークランドに住む息子達に会いに行き、その三日後にやっと自宅へ戻ったそう。 「何も問題がなく、ほっとしているところ……」というメッセージが来ました。先ほど、我が家の無事を確認したそうです。 彼らのやり取りを聞くと、「ゲストルームに滞在してくれる予定でしたが、ベッドのかたさが身体に合わない。マスターベッドに寝てもいいかしら……」なんてメッセージが来て、仕方がないので、OKを出したこともあったそう。 自分のベッドを赤の他人に使わせる……この感覚も私には理解ができません。 しかし、こちら現地の人達はあまり細かいことを気にせず(気にする人は私と同様、このハウスシッターは使わないのだと思いますが)、留守の間、泥棒が入って大変なことになるより、誰かに住んでもらったほうが安心という考え方のようです(それが、親戚であれば、なおさら安心)。 さらにハウスシッターは家賃を払ってくれるので、収入が入り、ありがたいとのこと。家庭菜園をしている場合、庭が荒れなくて済みますし、ペットを飼っている(自分で旅行先に連れていけない)場合にも、ハウスシッターは重宝するとのこと。 単に家の管理という観点だけではなく、自分たちが住む家を通常通り、運営してもらえる。空き家にして、家が傷まないようにする効果があり、おまけに収入が入る。一石二鳥、三鳥の方法のようなのです。