「こんな痛いと思わなかった」…のどだけじゃなく、『餅が詰まって腸閉塞』にもご注意を
また、石原院長は「餅には悪い条件が重なっている」と話す。 北品川藤クリニック 石原藤樹院長 「お餅ってちょっと大きいままでも食べてしまいやすく、割と丸飲みしやすいんですよね。高齢者にとっては嚙み切りにくくて、少し硬めの餅だと歯ごたえもあるし、歯や顎の力が必要になってくる。伝統食だから高齢者の方が好みやすいし、悪い条件がそろっているかな」 餅による腸閉塞は窒息事故ほどの発生件数はないが、毎年数人はいるようで学術論文での言及もいくつかある。香川大学・今滝修さんの論文「Rice cake ileus」には、実際に餅が腸に詰まっているCT画像も掲載されている。 CT画像には、白い4cm程度の細長い形状のものが写っている。これが体内で硬くなった餅で、腸の流れが悪くなって「餅による腸閉塞」になるのだという。 ここまではっきりと画像で餅が詰まっているのがわかるとは、驚きである。 新年早々、腹痛で苦しみたくはない。石原院長によれば、特に注意が必要な人がいるという。 ■高齢者はもちろん、手術歴のある人は注意 腸閉塞は命にかかわることも 北品川藤クリニック 石原院長 「ご高齢の方、お腹の手術をした方はより注意が必要ですね」 窒息事故と同様、餅を食べる人は高齢者が多いこともあり、石原院長のクリニックでも腸閉塞になりやすいのは50代以上が多いという。また、高齢者に限らず、お腹の手術をしている人も起こりやすいと話す。 石原院長 「例えば腸を手術で切って繋いだら、その部分は無理に繋いでいるから運動機能が落ちてしまい、動きが悪いから詰まりやすくなる。だからリスクがありますね」 ただ、基本的に餅による腸閉塞は、固まった餅が腸に引っ掛かったことによって起こるため、比較的軽症で、ほとんどの人は数日間入院し、絶食と点滴による治療を行う。そうするとだんだん固まった餅が腸を流れ、肛門から出ることで落ち着くことが論文「Rice cake ileus」でも記されている。