「残らないコミュニケーション」なぜ人気?
数年前、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のfacebookがタイムラインをリリースするなど、『ライフログ』という言葉がもてはやされた。しかし、最近では、その真逆をいくサービスが話題となっている。タイムライン化したfacebookそのものが、今度は閲覧後に消去される写真、動画共有アプリの『Slingshot』を今年6月にリリース。日本では、情報サイトのnanapi(ナナピ)が、“消えるQ&Aアプリ”として『アンサー』をリリースしている。Q&Aサービスは、ここにくれば答えがある、というものが基本で、ユーザーによって創り出されたナレッジはアーカイブされている。『アンサー』の開発を担当したnanapiの岡山智さんに話を聞いた。 実は、2012年末ごろから、『ライフログ』に対して、抵抗を覚えるユーザーが増え始めたという。ツイッターなどの発言を巡って、ネット上で“晒す行為”が頻発するなど、SNSなどに記録を残すことが不利益につながることが取り沙汰されるようになった。『アンサー』を開発したnanapi株式会社の岡山さんは「SNSが生む、強烈な連続性や蓄積性、監視力に対しての疑問や気持ち悪さみたいなものが徐々に現れてきました」と分析する。 もちろん、サービスのスタイルによっては、自動消滅機能があっても成立するかもしれない。しかし、ナレッジを蓄積するQ&Aサービスが、アーカイブしないことは、ビジネスモデルとして大胆な判断だったと言える。しかし、「企画当時、懐疑的な話はぼちぼちあったように思いますが、正直あんまり覚えていません。アンチSNS的というと齟齬がありますが、これだけ多くの人がネットワークに参加可能なデバイスを保持している現状であれば、関係性を作って、アーカイブして、それをいちいち探すよりも、その場で都度人同士のやり取りで気軽に話して何とかするほうが難易度も低く、素早く、生活の大半で価値が高いと、そこそこの確信がありました」と、企画そのものに自信を持っていたという。