ダイハツの海外事業はトヨタからの委託形態に-認証不正で体制見直し
(ブルームバーグ): トヨタ自動車は8日、子会社ダイハツ工業の認証不正の問題を受け、来月1日から両社の海外事業の体制を見直すことにしたと発表した。
発表によると、製品企画機能は両社にまたがる「新興国小型車カンパニー」からトヨタに変更する。ダイハツはトヨタから委託を受けて実務を担う形態とし、開発から認証までの責任についてはトヨタが持つことにする。今後の切り替えモデルから順次変更していく。
ダイハツを巡っては昨年12月、公表済みだった側面衝突試験の認証申請における不正行為に加えて新たな不正が発覚し、国内の全工場が一時的に生産停止となったほか、一部車種では量産に必要な「型式指定」を取り消す処分を受けた。トヨタへの供給増加がダイハツの認証現場などの負担を大きくした可能性があるとして、軽自動車に集中できる体制に変更する方針を示していた。
3月1日にダイハツの社長に就任した井上雅宏氏は都内で開いた会見で、今回の体制変更の背景として、自動車業界では各国の法規制が厳しくなる中で「さらに電動化を進める必要性が出てくるが、ダイハツのリソース、知見には限りがある」と説明した。新興国の小型車は今後成長が見込まれるとし、両社が強みと弱みを補完することで力を発揮していくと続けた。
8日の発表で、ダイハツは「軽自動車を中心」とした会社を目指すことが改めて示され、ダイハツは軽の電気自動車(EV)にも取り組むという。新興国では廉価な小型車の提供を続け、電動化・知能化分野ではトヨタとの連携を深める。
また、「経営責任を明確化すべく」旧経営陣による2023年度の賞与返納についても8日の発表で明らかにされた。前社長の奥平総一郎氏と前会長の松林淳氏らが全額返納となったほか、取締役2人や執行役員5人も10-50%の返納の対象となった。
関連記事:
(c)2024 Bloomberg L.P.
Tsuyoshi Inajima, Nicholas Takahashi