大好きな地方で挑む初の監督業 俳優で歌手の石丸幹二の今 マルチに活躍する表現者が芸能人生第3幕で目指すもの
芸能人生第3幕は芸術監督
俳優・歌手の石丸幹二(59)が、長野県のまつもと市民芸術館のゼネラルアートアドバイザーに就任して半年。監督団の一人として「ひらいていく劇場」をコンセプトに、入りやすい劇場づくりや地域に出向くアイデアを練っている。劇団四季で17年間活躍した後、表現者の道を広げて17年。自身にとって“第3章”の幕開けに巡って来た初めての芸術監督業だ。番組司会など挑戦を続ける今を注ぎ込み、松本とのかねての縁をかみしめながら、市民の「ホーム」となる劇場にしたい―と強い思いを語る。 【写真】石丸幹二さんが企画、自身も参加した赤ちゃんOKのコンサート
赤ちゃんOKのコンサート企画
赤ちゃんOK。体が不自由でも高齢でも、座りやすい場所へ自由に移動して楽しんで―。新体制のお披露目となった4月の公演「はじめまして!」は石丸の発案で、0歳からお年寄りまで、みんなのコンサートと銘打った。監督団のもう2人、団長で「木ノ下歌舞伎」主宰の木ノ下裕一がクラシックを解説したり、演出家・振付家・ダンサーの倉田翠が米津玄師の「パプリカ」を振り付けたり、家族連れなど会場が一体に。ジャンルを越境してきた石丸らしい舞台回しが光り、多彩な音楽や踊りで交流し、笑顔があふれた。
「充実した時間で大成功」
「これまでも芸術館は開かれてきたと思いますし、他の2人が個性的なアプローチをしていますが、自分なりの『ひらき方』ができたらと思いました。いろいろな方が自分たちの劇場として入りやすくしたいというメッセージを込めて、静かにしなくては、など『~ねばならない』を極力なくしました」。子どもの泣き声が気になるといった感想もあり、「まず『ひらいて』船出してみて受けた波から、(客層の)すみ分けや事前の告知など、見直す点を学んでいるところです。でも僕らの姿を見てもらえて、お客さんものってくださった。充実した時間で大成功だったかなと思っています」
山間部も駆け回る
監督団の3人で定期的に話し合い、企画のアイデアを探っている。5月には共に、市山間部の奈川や四賀などを3日かけて回った。「合併で市が広がっているので、その地域の方々がどう文化を感じているのか調べたかった。広くて回りきれませんでしたが、各地に特徴的な施設があると分かり、芸術館への距離の問題も感じた。『はじめまして!』のような企画をその会場で行えればいいなと思いました」。初代芸術監督の串田和美も地域に分け入り、芝居をした。「その継承もしたい」と語る。