東京五輪エンブレムの再公募。透明性のある選考方法はどうあるべきか?
審査委員の再任問題と同時に公募方法、条件を具体的にどうするのかという大きな問題がある。今回のように名だたるグラフィックコンテストの2度の入賞歴などを参加資格とするのか、もっとハードルを一般公募レベルまでに下げるのかという議論もある。前回、厳しい応募条件をつけた理由は、「商業的な展開と多様なメディア展開に対応できるため」とされていたが、今回のように決定後に、修正をかけていくのならば、一般応募作品でも、内定後、マーチャンダイズに、対応できるような修正は可能だろう。白紙に戻してしまったことで、選考の時間に余裕がなくなってきたことも事実。あまりにハードルを下げすぎて、応募作品が増えてしまうことも懸念されるが、応募条件は、できる限り緩和すべきだろう。 また広瀬氏は。「選考過程をオープンにすることが重要。途中段階で、作品を公表して商標の問題が出るのならば、最終候補の4作品くらいを同時に、組織委員会が責任をもって、まず国際商法登録をしてしまえばいいだろう」という意見を強調した。 現在、ライセンスビジネスが、先鋭化していて、アイデアが表面化すると、すぐにその商標を抑えられてしまう傾向にある。それらを防ぐため、近年、エンブレムは、どんどん複雑化しているのが実情。また今回のように、商標登録されていないものに対しても、ネット社会が、模倣や盗用、もしくは、その意図がまったくない場合でも“偶然の模倣”をネットで指摘されるケースもあるだろう。「オリジナリティとは何か」の意義が問われるような怖い情報社会となっているだけに、IOCと連携しながら、権利、商標問題に、どう対応するかも課題のひとつ。ここまでエンブレム問題でイメージダウンさせた以上、二度と、盗用騒ぎは起こせないだろう。広瀬氏は、「エンブレムのようなシンプルなデザインには、世界のどこかで、少なからず似ているものが出てくるでしょう。それを防ぐには十分な調査が必要だが、表に出してから、ある一定の期間、対応時間を設けてから正式決定するのもひとつの対応策かもしれない」というアイデアを口にした。 組織委員会は、早急に、再公募の正式な手順、方式を検討、決定していくだろうが、まずエンブレムの選考委員も、一度、白紙に戻し、その選考基準を含めて、選考過程をできる限りオープンにしていくことが、国民の支持を得るための一番の方策ではないだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)