東京五輪エンブレムの再公募。透明性のある選考方法はどうあるべきか?
今後、国民の理解を得るための公募、審査の透明性をはかるには、審査委員会も一度、白紙に戻す必要があるだろう。広瀬氏も、「大会コンセプトの次に決めることは、審査委員を選び直すこと。審査委員の選考基準を明らかにして、そこに責任を持たせる必要がある」と主張する。 「デザイン、商業利用、メッセージ性など、それぞれの分野で、何を決める審査委員なのかを明らかにすれば、今後、問題が起きたときに、選んだ人の責任もハッキリとする。アカウントビリティ(説明責任)を担保しておくことが重要で、今回は、審査過程にアカウントビリティ(説明責任)がなかった」 新国立競技場問題のときもそうだったが、今回も、審査委員をどういう基準で選んだかの透明性にも欠けていた。審査委員代表は、1972年の札幌五輪のシンボルマークを作った永井一正氏で、以下、審査委員は、浅葉克己(日本グラフィックデザイナー協会会長)、細谷巖(東京アートディレクターズクラブ会長)、高崎卓馬(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会クリエイティブ・ディレクター)、平野敬子(デザイナー/ビジョナー)、片山正通(インテリアデザイナー)、真鍋大度(メディアアーティスト/プログラマー/インタラクションデザイナー)、長嶋りかこ(グラフィックデザイナー)の8人で構成されていて、オブザーバーとして、アスリート代表として、オリンピアンの室伏広治、成田真由美が参加したが、この人選理由も、なぜ8人だったかも不透明でよくわからない。エンブレムの白紙撤回の会見で、「佐野氏がありきの選考ではなかったか?」との質問が飛び、武藤事務総長は「それはない」と否定していたが、(公の場で肯定するわけがないが)、出来レース、談合的な決定、という疑惑の声も消えていない。 広瀬氏も「官僚主義。官僚が話しすい人を選ぶ傾向がある」とも指摘する。 そこに疑惑のデパートとなってしまった佐野氏の個人的なモラルの持ち方と同時に、今回のエンブレム問題が起きた根本的な温床があるとすれば、まずは、審査委員の決定から、なぜ選んだかを明確にして、透明性を持たせるべきだろう。