鹿児島県・奄美大島の小湊沖合で大海原のクジラショー、ホエールウォッチング体験 幼稚園児らが歓声
アリューシャン列島の北に広がるベーリング海から数千㌔の旅をしたザトウクジラが、奄美大島・徳之島周辺海域で周遊の季節を迎えた。奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は5日、奄美市内の幼稚園児15人と保護者17人を招きホエールウォッチング体験ツアーを実施。園児たちは、船の十数㍍先で繰り広げられる「ブロー」(息継ぎ)や潜水(フルークアップ・フルークダウン)のショーに歓声を上げ、雄大なクジラの姿と海の豊かさを目の当たりにした。 体験ツアーは、ザトウクジラの繁殖海域となっている奄美大島近海の価値やホエールウォッチングへの理解を深めてもらおうと2023年から実施。同協会副会長の才秀樹船長(51)=マリンスポーツ奄美代表=が観光船「シークイーンⅡ」(48人乗り、13㌧、最高速度45㌔)を出して協力している。
晴天、風や波もほぼない状態。小湊港を出港した7分後、才船長の「ブロー」という声が船内に響き、船は急加速し、沖合8㌔の地点を目指した。 2度目のブローで目視できる距離に接近。観察していると、体長10㍍と12㍍のザトウクジラが時折背中を水面にのぞかせ、ブローとダイブを繰り返した。 その後、ホエールスイム(海に入り水中のクジラを観察)の観光船も加わって船列を作りながら2頭を追い、何度も雄大なクジラの行動を観察した。
3年連続で参加しているという双子の平良煌太(こうた)ちゃん(6)、凰太(おうた)ちゃん(6)は「すぐ近くでいっぱい見た。ひれが白いのと黒いのがいた。パパより大きかった(父親・健太さん(39)は130㌔)」と満足そうに話した。 久保歌凛(かりん)ちゃん(3)は船酔いでダウン。船を下りると、「来年は頑張って見る」と元気を取り戻した。 奄美大島近海におけるザトウクジラの回遊のピークは2~3月。25年シーズン(12~4月)は、昨年12月11日に加計呂麻島・徳浜沖で1頭を初確認、4日までに52頭を確認している。 興会長は「協会では、船数制限などストレスを最小限に抑える自主ルールを作っている。今後もクジラを守りながらの観光に努めたい」と話した。