ダメ、どうしても会いたくない…遺産分割をきっかけに〈絶縁状態〉になった62歳女性と58歳弟、父が亡くなったときにしておけばよかった15年前の「ある後悔」とは?【相続の専門家が解説】
母親が亡くなり、いよいよ相続手続きをしなくては…
そしてついに昨年、母親が亡くなりました。その間、幸子さんは実家に通って母親の介護をしてきましたが、3年前くらいからいよいよ一人暮らしが大変になり、母親は介護施設に入所しました。実家は空き家となり、預金は弟が管理すると通帳を全部、持って行ってしまいました。 さらに弟に対して不信感が募った幸子さんは許せない気持ちのままですが、父親と同様、母親も遺言書を作成していないため、いまとなって幸子さんと弟の2人で父親と母親の財産について遺産分割協議をしなければなりません。 父親の財産はすでに自宅だけ、母親の財産は自宅と200万円程度の預金。母親の財産についても基礎控除4,200万円以内ですので、相続税の申告は不要です。2人とも同居しておらず、同等の立場ということで、財産は等分に2分の1ずつ分けるというのが幸子さんの希望です。実家も売却して2人で分けるしかありません。 幸子さんは弟とは直に話ができないということで、弟との連絡役として売却等の話をまとめてもらいたいと相談に来られました。
調停はしたくないが…歩み寄れない。お金の問題じゃない!
幸子さんも、弟も「財産は等分に分けること」、「実家は売却すること」については、異論はないそう。当事者間で事務的に進められそうなものですが、それでは進まないことがわかっています。 15年の間も互いに譲らず、溝ができた姉弟ですので、「姉の言うとおりにするのは気に入らない」「弟が言うとおりではおもしろくない」という感情があり、いまさらその距離が縮まることはないと言えます。 幸子さんは「お金の問題じゃない! 15年前の遺産分割協議書のことから、弟に詫びさせたい」という気持ちが根底にあり、何事も疑心暗鬼となってしまって、決断できないようです。 しかし、空家の実家をそのまま維持することはできないため、当社が幸子さんの窓口となって売却を進めていくよう依頼を受けました。弟は自分で探した弁護士が間に入って連絡窓口になるということで、ようやく売却の話が進みだしたのです。
【関連記事】
- 郷里の母への仕送りを、母がすべて私名義の口座に貯金していました。このお金に相続税は課税されますか?【弁護士が回答】
- 【年金月38万円・60代夫婦】余裕の老後生活へシフトのはずが一転。郷里の兄嫁、クルマに90代の母を乗せ、遠路はるばるやってきて…人生最大の番狂わせに「いまは無の境地」
- 「もうムリ、ごめんね」50代独身ひとりっ子、年金15万円・80代の同居母を残し、生まれて初めて実家を離れた切実理由
- 30代長男の死…嫁は「私たちを頼らないでください」と言い残し、孫を連れて海外移住。食堂で働き詰めの高齢母が、涙をこらえて遺した〈まさかの遺言書〉
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】