命を救ってくれた「おにぎり」に恩返し「おにぎり協会」代表理事が語る“国民食”のすごみ
専門店も同じくバリエーションが豊富で、依然として素材にこだわったご馳走系のおにぎりが人気なのだそう。 「以前は作り置きをしているお店が多かったのですが、最近は注文を受けてから握るなど、できたてにこだわるお店が増えてきていますね」
おにぎりが一流の料理として認知された
ちなみに専門店で有名なのが、東京・浅草にある東京で一番古いおにぎり屋さん『おにぎり浅草宿六』と東京・大塚にある『ぼんご』。 「宿六は、コロナ禍前に『ミシュランガイド東京2019』で初めてビブグルマンとして掲載。おにぎりが一流の料理として認知されました」 コロナ禍が明けて以降、夜も営業するおにぎり店も増えてきている。 「東京・豊島区の『おにぎり・とん汁 山太郎』。夜は『夜山太郎』として、おにぎりの具材を酒のおつまみとして小鉢で楽しめます。岩手・盛岡市の『握り飯 銀香』も、昼間は握り飯専門店、夜はおにぎりの具材をアテに日本酒を楽しむバーとして営業。 大阪・北新地の『おにぎり竜』は、プロボクサーの方が開いたお店で、おいしいおにぎり、おでん、お酒が楽しめる居酒屋。専門店もいろいろと進化中です」 ちなみに9月30日から放送が始まったNHK連続テレビ小説『おむすび』。舞台は平成で、阪神・淡路大震災も描く作品となっている。 「実は、阪神・淡路大震災の起きた1月17日は“おむすびの日”。ボランティアの炊き出しにより、被災者に多くのおむすびが届けられたことから、人と人との心を結ぶ“おむすび”の日が制定されたそうです。おにぎり、おむすびは誰かのために作るもの。誰かのことを思いながら、『おむすび』を楽しみたいですね」 中村さんにとって、おにぎりはどんな存在なのだろうか。 「実は中学時代に拒食症になり、ごはんが食べられない時期がありました。そのときに母が無理して食べなくてもいいからと言いながら、いつも握ってくれていたのがおにぎり。やっと食べることができたとき、それがとてもおいしくて。自分を生き返らせてくれたのが“おにぎり”だったんです。 社会人になってIT・ビジネス関係会社を起業し、海外の人と話す機会が増えたのですが、おにぎりのことを聞かれてもうまく答えられない。おにぎりをもっと知りたい、おにぎりを通して和食文化の素晴らしさを世界に発信したい、命を救ってくれたおにぎりに恩返ししたい。そんな思いで10年前に『おにぎり協会』を立ち上げました」