PC遠隔操作事件ってどんな事件? 片山被告が無実主張
遠隔操作されたパソコン(PC)から多数の犯行予告が送信され、その狡猾な手口から誤認逮捕が続出したPC遠隔操作事件。捜査本部は2013年2月に片山祐輔被告を逮捕し、本年2月12日には初公判が行われましたが、被告自らが冒頭陳述で身の潔白を訴えるなど、事件の解明にはほど遠い状況です。PC遠隔操作事件のこれまでの流れを整理してみましょう。
相次いだ誤認逮捕
PC遠隔操作事件の発端は2012年の初夏。同年6月29日に、横浜市のホームページに小学校無差別殺人予告が書き込まれました。7月1日には、東京都の大学生が威力業務妨害容疑で逮捕されましたが、その後も大阪市の商店街での無差別殺人を予告するメール、東京都内の幼稚園での無差別殺傷を予告するメール、伊勢神宮の爆破を予告する掲示板への投稿など、次々と犯行予告が重ねられ、約2か月半の間に、実に4人もの無実の人たちが誤認逮捕される事態になったのです。 多くの誤認逮捕が発生した要因としては、遠隔操作ウイルスとネットの暗号化技術が挙げられます。犯人は誤認逮捕された人たちのパソコンを遠隔操作ウイルスで操り、犯行予告の送信に利用していました。また、犯人は一連の犯行で使われたサイトにアクセスする際、ネットでの動きを察知されないように「Tor(トーア)」という暗号化ソフトを悪用。これまでのサイバー犯罪は、ネット上の住所をあらわすIPアドレスを辿ることでその多くが解決していましたが、Torによって犯人の足取りが消されてしまったのです。 しかし、もっとも問題とするべきは、このような専門的知識を要するサイバー犯罪に対抗するだけの知識や技術を、警察が持ち合わせていなかったことでしょう。2012年の10月には、真犯人を名乗る人物から、警察・検察に対する「あそんでくれてありがとう」といった挑発的な言葉が綴られたメールが、弁護士や報道機関宛に送られました。
2013年2月に片山被告を逮捕
その後も騒ぎを楽しむかのように何度もメールが送られ、「スクープのチャンス」などとして、事件にまつわる情報をパズル形式で提供するなど、その内容は次第にエスカレート。こういった犯人からもたらされた情報がもとになり、事件に使われた遠隔操作ウイルスのソースコードが入ったマイクロSDカードが発見され、捜査は新展開を迎えます。 マイクロSDカードは、江の島にいた野良猫の首輪にはり付けられていましたが、現地の防犯カメラに、片山祐輔被告がこの猫に接近する様子が映っていたのです。捜査当局は2013年の2月に、片山被告を逮捕しました。