【このニュースって何?】柏崎刈羽原発に核燃料を搬入 → 原発や新幹線で県が反対するのはなぜ?
《日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんがヒントを教えます》
東京電力ホールディングスは4月15日、新潟県にある柏崎刈羽原発7号機の原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷(そうか)」を始めました。2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原発事故のあと、柏崎刈羽原発は止まったままになっています。 燃料装荷は再稼働に向けた準備のひとつですが、再稼働の目途(めど)は立っていません。再稼働に必要な地元の同意が得られていないためです。新潟県の花角英世知事は、原発事故が起こった時の避難道路の整備ができていないことなどを理由に再稼働を認める段階にないとしています。その背景として、県民が依然として再稼働に消極的なことがあるとみられます。 県民はなぜ消極的なのでしょうか。おおもとの原因は、新潟県民のほとんどが東京電力の電気を使っていないことにあるとわたしは思います。 少し前まで日本は10の電力会社がそれぞれの地域を独占して電気を供給していました。新潟県は東北電力が管轄してきた地域です。地域独占が形の上で崩れた今も新潟県民が使っている電気の多くは東北電力がつくっています。 柏崎刈羽原発が再稼働すると、東京電力の経営がよくなって電気料金は下がるかもしれませんが、その恩恵は新潟県民にはほとんどありません。その一方で事故のリスクだけは負うというのでは、県民が再稼働に消極的になるのもわかります。 電力は「地産地消」が望ましいと言われます。近くでつくって近くで使えば、事故が起こっても影響が小さくてすみますし、何より自分たちの電気という意識が高まって大切に使ったり環境をよくしたりすることにつながります。 そのため、ほとんどの電力会社は原発を自社のエリアにつくってきました。しかし、関東圏をエリアにする東京電力は原発を建設できる適地がエリア内にないということから、東北電力管内の福島県や新潟県につくってきました。 原発建設や運転に伴う多大な国の補助金があるため、福島県や新潟県は受け入れてきました。もっと遠い青森県下北半島の東通村でも建設しようとしています(今は中断中)。いざ問題が起こった時に地元が冷淡になるのは、「地産地消」とはほど遠い形態の東京電力の宿命かもしれません。