試合後、福岡サポーターにあいさつする名古屋・山岸（左）と三国（撮影・西田忠信）

　アビスパ福岡が4日のホーム名古屋戦でリーグ戦12試合ぶりとなる白星を収めた。何度も訪れたピンチを切り抜け、後半43分に小田逸稀（26）がチームにとって5試合ぶりのゴールとなる決勝点。スタジアムが一体感に包まれた。 ■ミニのワンピ、女性警察官風衣装も…ハロウィン仕様コスチュームでチアが舞う【写真】 　この空気には、昨季まで福岡でプレーした名古屋の山岸祐也（31）も「福岡のスタジアムにはこういう雰囲気が出ていたら、選手がいつも以上のプレーをできる。そんな雰囲気を出すスタジアムで、そこにのまれてしまった」と博多の森にすむ〝魔物〟に脱帽した。 　けがで離脱していた山岸は、Jリーグ公式戦では9月4日のYBCルヴァン・カップ広島戦以来の出場。前半から攻勢をかけていたのは名古屋で、山岸が出場していた後半16分までは「流れは変わっていなかった」。しかし山岸が引き、残り時間が少なくなるにつれてアビスパサポーターの一体感ある声援にのまれていった。「嫌な雰囲気だな、とベンチで話していた。選手はいつも以上の力を出す。（小田）逸稀なんか、あんなシュートを決めちゃったり」と、6月2日のアウェー柏戦以来、今季2点目を決めた小田のファインゴールに驚いていた。 　山岸自身も前半15分に左クロスに合わせてシュートを放つ決定機があったものの、永石拓海（28）の好セーブに阻まれた。「結構止めていましたね。乗らせたら嫌なGK。あそこで1本でも入っていたら変わっていたけど決められなかったので、永石の勝ちじゃないですか」と負けを潔く認めた。 　それでも、昨季まで福岡で2年続けて2桁得点を挙げてきたエースストライカーは「次は自分が勝てると思っている」と相変わらずの負けん気だ。 　試合後に長谷部茂利監督とあいさつし、さらに闘志を燃やした。「あいさつに行ったら『ゴール決めなくてサンキューな』みたいに言われて。ちょっとむかついた」と冗談交じりに振り返ったが、すぐに元指揮官の心情を察した。「シゲさん（長谷部監督）は本当に自分のことを思ってくれて、そういう風にモチベーションを上げてくれる。だから本当に感謝している。スタジアムも懐かしくて、やっぱり後半の雰囲気はすごくいいですね」と、2020年秋から3年余りすごした古巣への変わらぬ愛着を口にした。（末継智章） ▼山岸祐也が狙う今季J1で2人だけが狙える栄冠…【関連記事】から▼