「内P」復活を成功させた内村光良60歳、他のベテラン芸人にはない“唯一無二の魅力”とは
内村が見せたバランス感覚と愛
『内村プロデュース』に感じたのは、場の雰囲気のやわらかさだ。 なあなあでやっているわけではないが、緊張感を保ちながら各芸人がノビノビと芸を披露。若手もベテランも関係なく笑いを作り出すことができ、内村がスベリやミスもしっかりと笑いに変えてくれるので安心してボケを披露できる。 今回もレギュラー放送時と同じく、ふかわりょうが大喜利企画で珍回答をしても内村がやさしくフォロー。また、「引き出し王」で出川哲朗が無茶なリアクションで危険な笑いを披露した際、さらに「笑わせ王」でトランポリンを利用した危険な笑いを芸人がやりだした際は、抜群のタイミングで切り上げ笑いに変えた。 内村が確かなバランス感覚で場を仕切っていることで、芸人たちは追い込まれながら何かしらのネタを披露する勇気をもらえる。ミスをしたりスベっても救いの手を差し伸べ、全てを笑いに変えるテクニックを内村は持っているのだ。
笑いを何倍にも増やせる配慮やテクニック
また、芸人たちの笑いを何倍にも増やすフォローもうまい。 さらば青春の光・森田宅で「内P家庭訪問」を行った際は、芸人たちの暴走をうまくコントロールして次々とボケを生み出させた。 さらに有吉扮する猫男爵の登場シーンでは、うまく有吉を誘導しながら部屋で大暴れする動線を演出。最終的には場が荒れて収集がつかなくなったのだが、内村が機転を利かせて締めのコメントを行ってきれいに企画を終了させた。こういった配慮やテクニックがあるから、芸人たちはストレスなく楽しい収録を終えることが可能になるのだ。 これは、レギュラー放送していた時の『内村プロデュース』と同じく、特有の雰囲気は内村が作り出しているものである。今回の『内村プロデュース復活SP!!』でも、芸人たちは無茶振りの企画に対してさまざまなギャグやリアクションを披露したが、心底楽しそうに企画に挑んでいる様子が見られた。
内村にしか作り出せない『LIFE!』の柔らかい雰囲気
そして、内村のライフワークにもなっている『LIFE!~人生に捧げるコント~』は、12周年を迎えたことを記念して、9月16日、23日に特番『LIFE!12周年SP』を放送。 コント番組が激減している中で、『LIFE!12周年SP』では今田美桜の人生初コント挑戦や7年ぶりとなる星野源の出演、さらに川口春奈も参加するなど豪華なメンバーで制作され、SNSでも大きな話題を生み出した。 この『LIFE!シリーズ』の魅力は、なんといっても新しいコントの形を生み出しながら、ほっこりできる柔らかい雰囲気を醸し出しているところ。その中心にいるのはもちろん内村だ。 内村は、番組の主宰でありながら脇役に徹することが多い。今回の『LIFE!12周年SP』でも、今田や川口、星野が目立つ構成となった。もちろん、各コントで内村は活躍するが、自分が目立つことより他の出演者が光る潤滑油となるキャラに徹する。 そういった細かい心遣いがあるから、ゲストも緊張なくコントに参加でき良い作品が生み出され、またゲストだけでなくココリコ・田中直樹、ドランクドラゴン・塚地武雅といったレギュラー陣も輝き続けるのだろう。