【アイスホッケー】五輪最終予選、日本0勝3敗。⑤成澤優太(レッドイーグルス北海道)
「ホッケーは良くも悪くもGK次第。 僕がレベルを上げないといけない」
この夏の五輪最終は、成澤にとってホッケー人生でも3本の指に入る悔しさだった。 「僕もまだまだ代表でやりたいですし、強い相手に勝って五輪をつかみたい気持ちも、誰よりも持っている。あの涙は、いろんな葛藤が含まれていた涙だったと思います」 オリンピックに出るのは、成澤にとって小さいころからの夢だった。今回の五輪予選は成澤の人生の中でもずっと残っていくだろう大会だった。 「ものすごいシュートを入れられたというのは、大会を通じて1、2点しかなかったんです。股下からのシュートが10点中、4点もあった。股下から入れられてしまうと、プレーヤーも勢いに乗れなくなってしまうと思うんです」 「今の僕のレベルの低さがあらためてわかりましたし、このままじゃトップディビジョンに上がれないということも実感しました。やっぱりアイスホッケーは、キーパー次第ということもある。日本のレベルを上げるためにも、僕がレベルを上げないといけないと思いました」 成澤はGKというポジションに「しがみつく」選手だ。年齢がいくつになっても、うまくなりたい。それを、あきらめきれない選手なのだ。 体がボロボロになろうとも、成澤の「GKの一番手になりたい」という意欲はいささかも衰えない。それは「アイスホッケーが本当に好きだ」という心の強さでもあるはずだ。 成澤優太 なりさわ・ゆうた レッドイーグルス北海道・GK。1987年4月14日生まれ、北海道釧路市出身。9歳の時にアイスホッケーを始め、釧路駒場小、釧路北中、釧路工高、東洋大学を経て王子イーグルス(現レッドイーグルス北海道)へ。2023年に世界選手権ディビジョンI・Bで最優秀GKに選ばれ、今年2月の五輪3次予選、8月末からの五輪最終予選でも主戦ゴーリーを務めた。釧路工高はトップリーガーを何人も生んだ名門校だが、アジアリーグでは現在、同校OBは成澤ただ1人。
山口真一