松坂 出口はどこに? 走者を置いてのピッチング課題
いずれにしてもサンプル数が少ない中、球速も含めて、今の松坂を判断するのは早急だが、試合を見ていて気になるのは走者を出してからのピッチング。そこがあまりにも不安定だ。 良くも悪くも、松坂はこれまで、走者を背負いながら投げてきた。そして、メジャーデビュー当時は、そこでスウィッチを入れ、相手の攻撃を絶ってきた。 ところがこの3試合、約半分の確率で走者を返してしまっているのだ。 前述のデータを参考にしたfangraphs.comというサイトによると、LOB%(出した走者を残塁させた確率)は、54.6%。キャリア平均は71.9%で、2008年は80.6%だったので、今季はそれを大きく下回る数字になっている。 ちなみに、同サイトによる指標はこんな感じだ。 Rating LOB%(出した走者を残塁させた確率) Excellent(優良)・・・・・・・・80% Great(良い)・・・・・・・・・・78% Above Average(平均より上)・・・75% Average(平均)・・・・・・・・・72% Below Average(平均より下)・・・70% Poor(悪い)・・・・・・・・・・・65% Awful(最悪)・・・・・・・・・・60% 松坂の場合、現時点での数字が60%を下回っているので、最低レベルの下を行く。 得点圏に走者を背負った場合の被打率は.444で、2死の得点圏被打率は5割ちょうど。塁上に一人でも走者がいる場合の被打率は.435。 いくらサンプル数が少ないとはいえ、ここぞ、という場面でことごとく打ち込まれるさまは、およそ彼らしくない。 「ずっと野球をやってきて、我慢しなければならない時期は何度かありましたけど、なかなかきっかけが見当たらない」と、2日のブレーブス戦の後に話した松坂。彼にしては珍しく弱気だった。 過去と比べて、リリースポイントの高さもさほど変わっていない。球の伸びを示す数値は、去年より上がって、よかった時のそれに近づいている。空振りを取れる確率は、平均が9.1%なのに対し、今年は7.8%。 数値的にはむしろ、変化を探すことが難しい中、結果だけは非情。 松坂は、この厳しい状況の中、どこに何を見いだすのか。次回の先発では、真価が問われるのは言うまでもなく、挫折とどう向き合ったかが、問われそうだ。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)