お賽銭を入れた後やりがちなNG初詣の正しい作法【年末から年始のマナー】
初詣でいちばんとまどうのは、拝殿での参拝の作法です。「手は叩くべき?」「何回叩けばいいの?」など、うろ覚えで迷うポイントがたくさんあります。そこで今回は、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、本殿に参拝する時の作法を教えていただきました。 【画像で確認】初詣での正しい参拝方法は? ■まずは名前を告げてお願いごとは一つに絞る 拝殿に参拝する際、鈴がある場合は、まず鈴を鳴らしましょう。 鈴の音は邪気を払い、神様を呼ぶとされているので、お賽銭を入れる前に鳴らすほうがより丁寧です。 お賽銭の額に関しては、特に決まりはありません。 たくさん入れればご利益が得られるというものではないので、身の丈に合った額を入れましょう。 お賽銭を入れた後、いきなりお願いごとを言うのはタブーです。 心の中で住所と名前を神様に告げて、自分の所在を明らかにすることが大切です。 名乗ってから、「昨年はありがとうございました」「無事に新年を迎えられました」などと、感謝を捧げましょう。 「お願い事をする際もあまり欲張らず、心を込めて一つだけお願いしましょう。その際も『○○を叶えてください』ではなく、『○○が叶うよう、お力をお貸しください』というように丁寧にお願いすること。そして、願い事が叶った時はお礼参りをして、神様とのご縁をつなげていけるといいでしょう」(岩下先生) では、参拝時の作法をまとめてみます。 <参拝の作法> ・拝殿の前で軽く一礼する ・鈴を鳴らし、静かに賽銭を納める ・深く2回、頭を下げる ・両手を合わせ拍手を2回打つ ・両手を合わせて祈念する ・深く一礼し、後ずさりして拝殿から退く 参拝の際は、神様が宿る鏡(銅鏡)の真ん前に立つのは避けるようにしましょう。 鏡の場所がわからない場合は、賽銭箱を目安にして、その真ん中を避けます。 なお、神社によって作法が違う場合もあるので、その神社の作法に従ってください。 新年にお迎えする年神様は、稲の神様であると同時にご先祖様でもあります。 ですから、神社の後には、祖先のお墓のあるお寺にお参りしても構いません。 「お寺に参拝するときの作法は、神社の場合とほぼ同じですが、合掌するだけで拍手は打ちません。命を繋いでくれたこと、今自分が生きていることに感謝の言葉を述べてから、『見守りください』とお願いしましょう。また、お参りの後にはお墓をきれいに掃除して、花立に松を飾ると、さらにご先祖様が喜んでくださいますよ」(岩下先生) お寺も宗派によってお参りの作法が違う場合もあるので、事前に確認しておきましょう。 *** 初詣はお願い事をするために行くものではありません。自分や家族の健康と幸せを神様に感謝し、新しい年の初めに心をリフレッシュするために行くものです。正しい作法を身につけて、しっかりと神様にご挨拶してきましょう。 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々 イラスト=前川さなえ