年をとってもメンターとして頼られる人、老害として避けられる人は何が違う?
キャリアを重ねた人の言動が時に「老害」とされることがある。一方で、「老害」の対義語とも言われる「メンター」(仕事、キャリア、ライフプランなどについて助言などをしてくれる、信頼のおける相談相手)として、指針とされるような人もいる。 【図表】老害の構成軸。年齢だけでなく、さまざまな要素が老害となりうる 実は、老害になる人の特徴には、「力強いリーダー」「頼りになる上司」「結果を残している人」の特徴と合致しているものも少なくない。 「老害」と言われてしまう人と、「メンター」と呼ばれるような人、これを別々にイメージすると、前者と後者は全く似ても似つかない別人格の人物を想像してしまうが、老害を引き起こす人とメンターとして尊敬される人は実は「同一人物」の場合もある。 カリスマ社長や政治家、教育者など、尊敬されるべき実績や経歴がある人ほど、「あれ? いつの間に……?」と、本人も周囲も気づかないうちに「ハードな老害」へと転じている事例に思い当たることがあるのではないか。老害とは何か、そしてメンターとは何か。『メンターになる人、老害になる人。』をひも解きながら見ていく【1回目】。(前田 康二郎:流創株式会社代表取締役) ※前田康二郎著『メンターになる人、老害になる人。』(クロスメディア・パブリッシング)から抜粋、一部編集した。
■ メンターになる人と老害になる人とは「紙一重」 「老害」という言葉を調べると「年齢や経験をたてに幅を利かせ、周囲に迷惑を及ぼしたり、不愉快な気持ちにさせたりする老人」という説明が出てきます。しかし、現在の「老害」は、年配の方だけを指すのではなく、幅広い世代、つまり10代や20代でも老害になっている人はいます。 松本清張氏の長編小説『迷走地図』(1982年~83年)で「老害」という言葉が登場していますが、この時代は終身雇用、年功序列がベースでした。そのため、「年齢が高い人が、社歴も長く、経験も豊富」という前提が成立しており、「老害=年配の人」とも言えましたが、今は違います。 終身雇用や年功序列が崩れ、中途採用も増えたため「年上の部下」「年下の上司」も存在します。また、リスキリング(新しい職業、職種に就くため、あるいは企業から求められるスキルの変化に適応するため、必要なスキルを獲得すること)によって、40代、50代からこれまでとは違う新たな仕事でイチからスキルを構築される方もいます。 そのため20代、30代の社歴やスキルが豊富な人が、そうではない40代、50代に「老害」をしているケースもあるということです。