14年連れ添った愛猫を失い、深い悲しみに暮れる日々 やんちゃな1匹の三毛猫が“猫型の穴”を満たしてくれた
完全には癒えなくても和らぎはした「ペットロスの痛み」
ポポイさんを亡くした悲しみは正直、今も完全に癒えてはいない。だが、日常は少しずつ明るい方向に変わっている。 「娘には『お母さんがひとりでずっと猫と喋ったり、変な替え歌を歌いながら家事したりするの、ポポイがいる時みたい』と言われました(笑)」 また、外出時にも嬉しい変化が。飼い主さんはポポイさんの通院時、「少しでも怖がらせずに送迎をしたい」と思い、車内で音楽を止めており、逝去後もカーオーディオをオンにできなかったそう。しかし、ニアちゃんと暮らすうちに車内で音楽を楽しめるようになった。 「ポポイさんが亡くなった後は体重が5kg以上減り、どれだけ食べても増えなかったのに、ニアが来て2kg戻ったのは不思議でした。悲しみって、カロリーを使うんですね」 なお、ニアちゃんは初めてポポイさんと同じ動物病院に行った時、大騒ぎしたそう。獣医師とスタッフは「ポポイさんは大人しかったよね」と笑った。 「ニアの茶色い毛並み部分がポポイさんに見えて、涙が出ることはあります。ニアの毛皮は、ポポイさんと実家で暮らしていた亡き三毛猫のみぃ~ちゃんのパッチワークなのかも(笑)」
「大好きなんだから幸せを思い出してあげたい」
ペットロスは「動物が死んだだけ」と心の傷が軽視されることもあるため、当事者はぽっかり空いた“猫型の穴”の癒し方が分からなくなることも。飼い主さんも深く悩み、なんとか自分なりの受け止め方に辿り着いた。 「悲しみが深くて沈みすぎると、浮上するのに時間がかかりますし、何かを後悔をすることもありました。でも思い出すたびに辛い顔をしていたら、ポポイさんが可哀想だと思うようになったんです」 写真を見たり、在りし日の姿を思い出したりするたびに悲しがっていたら、きっとポポイさんも辛くなってしまう。大好きなんだから、「かわいいね」と笑顔で見て、幸せを思い出してあげよう。 時間をかけて辿り着いたこのペットロスの受け止め方は、亡き愛猫にできることを精一杯考えた飼い主さんなりの愛情表現でもある。 「東日本大震災の時、一緒に避難して子どもたちの成長も共に見届けてくれたポポイさんは私にとって特別な不動の一番。ポポイさんの面影を持ち合わせ、私と出会ってくれたニアは、かわいさ爆発で元気をくれる大好きな大事な家族。どちらも大切な子。一生守ります」 “猫と生きる”とは、どういうことなのか。そんなことも考えさせられる飼い主さんの猫ライフに触れると、自分にとっての“あの子”や“この子”がより愛しくなる。 (愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)
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