ニトリ、しまむらなどカスハラ対策が小売り業界で本格化するが…何でも「カスハラ扱い」する店が失う重要な情報
このような課題を見据えて、企業・組織がカスハラに適切に対処するにはどのような点に注意すればいいのでしょうか? まずは「顧客」と「非顧客」の定義づけをすることで、正当なクレームを取りこぼさないようにする方法を見ていきましょう。 ■そのお客様は「顧客」か「非顧客」か 顧客とは、「その組織が求めるお客様としての、正しい行動をしてくださる方」のことです。「提供している商品やサービスを適正に利用してくれる人」と定義していいでしょう。
しかし、一般に「顧客」と考えられているなかには「非顧客」が隠れています。「非顧客」とは、「提供している商品やサービスを絶対に利用してほしくない相手」です。 例えば次のような利用者について、皆さんはどう感じますか? ・スタッフを捕まえて、業務に関係がない話を延々と聞かせる ・釣り銭を1円間違えるなどのささいなミスに対して、過度な謝罪を要求する ・スタッフにセクハラをする このような来店客に「またぜひ利用してほしい」と思う人はいないでしょう。そのような相手はもはや顧客ではありません。また、「非顧客」であると定義することは、「その客が行っている行為はカスハラである」と認定することだともいえます。
以上のように、企業が「求めるお客様像」をもとに「顧客」と「非顧客」を定義していくことで、「何がカスハラにあたるのか」を見分けることができます。 ただし、利用者を定義づけする難しさも知っておかなければなりません。 ■転売ヤーは「非顧客」か? ここ数年、限定商品を転売目的で大量購入する人たちの様子がニュースなどでよく取りあげられており、議論を巻き起こしています。 たしかに一見、迷惑行為に見えます。でもこの事例だけでは、「非顧客」とは言い切れません。
「せどり」という言葉を聞いたことはありませんか? 購入した金額より、付加価値をつけて高く売る商売のことで、古本屋や古物商はこれに当たります。つまり、転売目的での商品購入自体は、法律に違反しているわけではないのです。店の方針によっては「大量購入してくださる良いお客様」と捉える場合もあるでしょう。 このように、業界・業種・業態によって、「非顧客」の定義は異なるはずです。 また、「無理難題を押し付けてくるお客様」も、一概に「非顧客」と決めつけるのは危険です。なぜなら、文句を言う権利は誰にでもあるからです。