「スイセン」を食べて食中毒に 有毒植物の誤食で厚労省が注意呼びかけ
長野県伊那市内の小学校で5月6日、誤ってスイセンの球根を食べた児童ら11人が食中毒になりました。県内では4月以降、スイセンやバイケイソウなど有毒植物を誤って食べた食中毒が3件連続、患者が17人に上ったため県は5月7日、「有毒植物の誤食による食中毒注意報」を全県に発令しました。いずれも食用の野菜などに似ている有毒植物の誤食によるもの。同様の食中毒は全国でも多発、死者も出たため厚労省は3日、各自治体に注意を呼び掛けました。
ノビルのつもりがスイセンを食べ……
長野県によると6日午後2時ごろ、長野県伊那保健所に伊那市内の小学校から「ノビルと思われる植物を食べた児童たちがおう吐、吐き気などの症状になった」と連絡がありました。同保健所で調べたところ、児童らが校庭に生えていた「ノビル」と思われる植物を採取。同日の昼食時に球根部分を学校の電子レンジで加熱して食べたところ、午後1時前ごろから児童10人と教職員1人がおう吐や吐き気を訴えました。 採取場所には食用のノビルと有毒植物のスイセンが混在して生育しており、同保健所は症状などから誤って採取したスイセンを食べたための食中毒と断定しました。児童らは快方に向かっています。 同県内では5月2日にも木曽保健所管内で有毒植物のバイケイソウを山菜のオオバギボウシ(地方名ウルイ)と間違えておひたしにして食べた2人が食中毒になりました。また4月24日には、中野市で自宅の庭に混在して生えていたニラとスイセンをニラせんべいにして食べた男女4人が、スイセンによる食中毒になり、翌日医療機関から通報がありました。
イヌサフランでは死亡例も
厚労省によると、同様の食中毒は次のように全国で発生。 ▽尼崎市で3月4日、スイセンを食べた10人が吐き気、おう吐、下痢、腹痛 ▽石川県の販売所で3月6日、農家がニラと誤ってスイセンを出荷し、食べた4人が吐き気、頭痛、おう吐 ▽山形県で3月30日、自宅の庭のスイセンをニラと誤って採取、調理して食べた1人が吐き気、おう吐 ▽熊本県で4月3日、自宅の庭のスイセンをニラと誤って食べた4人が吐き気、下痢、おう吐 さらに福島県(4月6日、バイケイソウで1人)、宮城県(4月7日、バイケイソウで2人)、山形県(4月9日、スイセンで2人)、岐阜県(4月10日、ハシリドコロで2人)、北海道旭川市(4月21日、イヌサフランで2人、うち1人死亡)、秋田県(4月23日、トリカブトで1人)と続発し、昨年同期比で倍増しました。このため3日、都道府県に文書で注意を促しました。 死者が出た旭川市の例はイヌサフランをギョウジャニンニクと間違えて食べたと見られています。ハシリドコロの食中毒ではけいれん、瞳孔拡大、意識障害などの重大な症状がありました。