人気別荘地の新居、“三重苦”の変形地→地形生かし日当たり・眺望抜群、兼用アイデア続々【住人十色】
俳優の駿河太郎、三船美佳がMCを務める、MBSテレビ『住人十色 ~家の数だけある、家族のカタチ~』(毎週土曜 後5:00 ※関西ローカル)の14日放送回では、超人気別荘地の葉山で“三重苦”の変形地を克服した家が登場する。 【番組カット】びっくり!壁一面緑色の浴室 舞台は神奈川県葉山町。住人(アルジ)は、夫妻ともに建築家の3人家族。憧れの葉山に新居を構えた。家があるのは、「旗竿地」と呼ばれる細長い通路の先にある見通しの悪い変形地。しかも、ただの旗竿地ではなく、敷地に2メートル以上の高低差がある「旗竿傾斜地」だ。さらに、斜面のために土砂崩れの規制があり、基礎を敷地いっぱいまで建てることができなかった。その結果、家の一部を宙に浮かせてせり出すような造りにしている。 旗竿地、傾斜地、狭小地という厄介な三重苦の変形地。そんな土地に建つ家の中は、天井高は4メートルもあり、18帖のメインスペースはひとつながりの空間になっている。南向きで明るい光が注ぎ、3面の大開口から葉山の町並みが満喫できる。高低差を逆手にとって、旗竿地では得られない明るさと眺望を手に入れた。高低差により、生じた段差もあえて利用し、スペースを緩やかに仕切る役割のほか、収納やベンチにするなど使い方を兼用。家具を減らすことでスペースも確保できた。 結婚後、都内の賃貸マンションで暮らしていたアルジ夫妻。子どもの誕生を機に、自然豊かで人気の別荘地・葉山での暮らしを夢見るように。ところが、移住者が急増する激戦区だったため、手にすることができたのは3年後。しかも、家を建てるには困難な旗竿傾斜地だった。しかし、実はその場所は、「南ひな壇」という南側に開けたひな壇状の土地。日当たりや眺望が確保された知る人ぞ知るお得な土地だった。問題はこれだけでなく、本当はまさかの“四重苦”だったという。その4つ目の問題とは。 景色を眺めながら調理ができるキッチンは、可動式の収納で、使いやすさも抜群。ただ、キッチンだけでは手狭だったため、背後にある広いすのこの空間も調理台として活用している。実は、このスペースは夫の寝室も兼ねていて、朝夕は調理台、夜は寝室になるという。さらに、土間の玄関周りにも工夫が。打ち合わせなどに使うテーブルは、お客さんが来たときには玄関から靴をはいたまま座れるようになっており、階段の一部も兼ねている。2階の鮮やかな緑色の扉を開けると、壁も一面緑色の浴室が。あえて浴槽だけにして、お湯に浸かるだけの優雅な空間になっている。 今では、すぐそばの海に出かけるのが家族の日課になっている。ただ、そんな暮らしには葉山ならではの悩みがあるという。それが4番目の問題の「湿気」。海と山に囲まれた葉山は潮風が山に当たって湿気が溜まりやすくなり、服や靴がカビてしまうのだという。そのため、この家では湿気対策のため、あらゆる場所にすのこを使用。すのこの天井にしたクローゼットの上は、妻と子どもの寝室になっていて、服もカビることなく、寝るときは熱が逃げて快適なのだそう。 段差だらけの家は小さな子どもにも変化があったそうで、夫は「自由自在にいろんな段差を飛び越えてます。家が成長させてくれるじゃないですけど、運動神経を鍛えてくれるかもしれないですね」と笑う。