溶ける時間半減、ダマになりづらい…江崎グリコ、粉ミルク製造の岐阜新工場を報道公開
江崎グリコは5日、岐阜県安八(あんぱち)町の工場で4月に本格稼働を始めた乳幼児用粉ミルクの新工場棟を報道陣に初公開した。市場の押し上げ役となっている共働き世帯の需要に応える、湯に溶ける時間が従来の半分で、ダマ(小さないくつもの塊)になりづらい粉ミルクを作る最新設備を導入。令和6年中に新工場から輸出を始めることも明らかにした。 【写真】新工場棟で製造し、6月にリニューアル発売された粉ミルク「アイクレオ」 新工場棟は約100億円を投じ、「グリコマニュファクチャリングジャパン岐阜工場」隣接地に第2工場として建設。地上6階建て、延べ床面積は6762平方メートル。新工場棟では粉ミルク「アイクレオ」を1日当たり20トン製造できる。 商品は6月にリニューアル。湯に溶ける時間を乳児用の従来品より半減させ、溶かした際の課題だったダマを抑えた。見学会では調合した原料液を、湯に溶けやすい粒子構造の粉にする「スプレードライヤー」の仕組みを説明したほか、その粒子を崩さずに容器に詰める充填(じゅうてん)機など最新設備を公開した。 国内の粉ミルク市場は少子化が進む一方、共働き世帯の増加により足元も拡大傾向にある。担当者は「溶けにくさは忙しい共働き世帯にとってストレスであり、不満も寄せられていた」とする。 これまで粉ミルクは兵庫県丹波市の柏原(かいばら)工場で製造していたが、老朽化のため岐阜工場へ移転し、柏原は4月に閉鎖した。粉ミルクはこれまでベトナムなど向けに輸出も進めてきた。グリコマニュファクチャリングジャパンの中田司・岐阜工場長は「海外にも(販売する)拠点を目指している」と述べ、新工場棟で製造したリニューアル品の輸出を今年中に始めるとした。(田村慶子)