芥川賞のピース又吉氏、今後もお笑いを100やりつつ小説を書く
■直木賞・東山彰良氏
直木賞を受賞した東山氏は、又吉氏の受賞で記者が殺到した今回の会見について、「芥川賞のついでに直木賞に注目していただければ丸儲けだと思う」と笑わせた。 受賞作は東山氏が家族と向き合って書いた作品。台湾で生まれ、日本で育った同氏にとって、アイデンティティの問題は常につきまとってきたという。「台湾と日本を行ったり来たりしていたが、どちらにいても受け入れられない。そんな中で、家族は確固たるアイデンティティを持てる場所だった。そんな思いで書いたのではないかと思っている」と振り返った。 台湾が舞台で日本人は登場しない。そんな今作だが、東山氏は、日本の読者が読んでも「ノスタルジーが感じられる」と言われたといい、驚く。「ノスタルジーの感情は普遍的なのかと感じる。良い小説を読むと(海外作品でも)ノスタルジーを感じることがある。それを感じていただけたのなら、ほんの少しでも自分が表現したいものに近づけたのでは」と喜んだ。 選考委員からの評価が非常に高く、北方謙三氏は「20年に一度の傑作」と絶賛した。それには「とても心強いが僕は心配だらけ」とおどけてみせたが、今後の作品の方向性について、「家族や青春小説を期待されると、僕の可能性を狭めてしまう。初心に帰ってフィクションの色合いが強いものを書いていきたい」と前を見据えた。 (撮影:山本宏樹)