「なぜあなたはフェラーリを買わないのですか?」とリサーチしたほど!? 日常使いを考慮した「フェラーリ ローマ」の魅力
フェラーリはかつて、「なぜあなたはフェラーリを買わないのですか?」とリサーチを行ったことがあるそうです。無論、フェラーリを所有するだけの経済力を持っているユーザーに対する質問ですが、その回答は意外にも「とてもアグレッシブで魅力的だが、自分に運転できるかわからない」という類いのものが多かったそうです。 【写真】コンセプトは「新・甘い生活」フェラーリ「ローマ」の姿 元来レーシングチームとして、1947年にイタリア・モデナ近郊で産声を上げ成功を収めたフェラーリだけに、そのブランドイメージは“絶大”と言うべきか、“世界的知名度”を含めて「フェラーリ=スーパーカー」という構図は否定できません。 現在、フェラーリの市販モデルのシリーズ構成は、大きく分けて二つのカテゴリーに分類されます。一つは、キャビン後方にパワーユニットを搭載するミッドシップカーの“スポーツカー”。もう一つは、前方にパワーユニットを搭載し後輪を駆動する“グランツーリスモ・スポーツカー”と各モデルを定義。車名を見て、数字とアルファベットの組み合わせなら“スポーツカー”、ペットネームを与えられたモデルは“グランツーリスモ”という基本的解釈になります。 今回取り上げるフェラーリ「ローマ」は、車名が示す通り後者の“グランツーリスモ”に当たる、いわゆるGTカテゴリーのモデルです。フェラーリ的にはジェントルで乗りやすく、多用途性と快適性を備えた日常使いができる寛容性を併せ持つモデルという設定になります。
快適性は犠牲にしない。 それでも、しっかり速い
では、この駿馬(しゅんめ)をフェラーリはどのように御(ぎょ)しやすく手なずけているのでしょうか? その答えは、最新のデジタル技術と本質的な基本性能の高さにあります。 走行性能をつかさどる電子制御を用いたドライブモードは、シーンに合わせて5段階に設定。F1マシン同様に、ステアリング上のセレクターでドライバーが任意にモード選択を行います。各種ドライブモードに応じたエンジンの出力特性やアクセル操作の応答性、サスペンション制御とも連動し、日常的な都市部の走行からサーキットでのスポーツ走行まで、例え上級者でもそのポテンシャルを十分に楽しむことが可能なのです。 素養となる基本特性は、パッケージで決まります。最も重いのはエンジンですが、前輪軸より後方(キャビン寄り)に搭載されています。このレイアウトを“フロントミッドシップ”と言いますが、運動性能を高めるには前輪と後輪の間であるホイールベース内に重量物を収めることが大切となります。 トランスミッション(8速DCT)はエンジンとは切り離され、リアのデファレンシャルギヤまわりと一体化したトランスアクスルレイアウト方式を採用。FR車(フロントエンジン・リヤ駆動)特有の重量バランスを最適化する一つの手法とご理解ください。 パンデミック下にあった2022年のフェラーリですが、過去最多となる1万3221台の販売台数と純利益を達成しました。資材不足への対応など困難もあったかと思いますが、好調なセールスを支えたのは明確な戦略に基づく“グランツーリスモ”の拡充です。つまり、新たな顧客の獲得に成功したことを意味します。