JPモルガンを米調査、顧客ファンドにイラン石油ネットワーク関与か
(ブルームバーグ): 米財務省は大手銀行JPモルガン・チェースとその顧客ヘッジファンドとの関係を調査している。イランの石油トレーダー、ホセイン・シャムハニ氏が統括するネットワークでそのヘッジファンドが何らかの役割を担っているとみられている。
調査は初期段階のもので、ロンドンやドバイ、ジュネーブに拠点を置くヘッジファンド、オーシャン・レオニード・インベストメンツが顧客になった際にJPモルガンが全ての規則や規制を順守したかどうかが焦点だと、事情に詳しい複数の関係者が非公開情報であることを理由に匿名で明らかにした。オーシャン・レオニードは最近、ドバイ国際金融センター(DIFC)から業務停止処分を受けている。
ブルームバーグニュースは10月24日、オーシャン・レオニードとシャムハニ氏との関係について報じた。同社にはJPモルガンのほかにABNアムロ・バンクやマレックス・グループなどがレバレッジを提供していたという。
JPモルガンと米財務省、オーシャン・レオニードの担当者はいずれもコメントを控えた。シャムハニ氏には同氏の弁護士を通じて書面でのコメントを求めたが、返信はない。
オーシャン・レオニードの担当者は過去にブルームバーグニュースの問い合わせに対し、シャムハニ氏の関与および監督を全面的に否定した。シャムハニ氏の弁護士も過去に、同氏はオーシャン・レオニードと一切関係がないとしている。
関係者らによれば、シャムハニ氏およびオーシャン・レオニードのいずれも何らかの制裁リストに挙がっていないため、JPモルガンが顧客契約を破棄する義務はない。
米財務省が関心を抱いているのは主にシャムハニ氏の活動だが、銀行コンプライアンスの不備があった可能性も調べていると、関係者らは述べた。金融に関するシャムハニ氏との西側の関係については、連邦準備制度も目を向けている。
連邦準備制度の報道担当者はコメントを控えた。
米国の管轄内で業務を営む銀行は、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金調達といった不正がないか顧客を調査し、疑わしい取引については当局に通報する義務を負う。