最初の「3時間」で生死が決まる…もし「大動脈解離」になったときの「ベストな対処法」
どこで診てもらうか、誰に診てもらうかで、文字通り運命が決まる。知っている人だけが幸せになれる、優れた医療の「条件」とはなにか―一流の医師たちが明かした。 【写真】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50 特集『最高の病院 危ない病院』前回記事<『脳梗塞になった…その瞬間に「行くべき病院」はどこなのか? 救急対応のエキスパートが明かす「発症直後に受けるべき治療」の中身>よりつづく。
少し遅れただけで命取り
つい先ほどまで何も問題なかったのに、突然これまで経験したことがないほど強く腰や背中、腹部が痛む。でも原因には心当たりがない―こういった自覚症状が表れた場合は、大動脈解離を疑ったほうがいいかもしれない。 「大動脈が解離したり膨らんだ血管が破裂したりすると、立っていられないほど強い痛みが生じることもあります。とくに痛みを感じる部分が体内で移動するのは典型的な症状で、大動脈解離の可能性が非常に高い」 こう解説するのは慶應義塾大学病院心臓血管外科教授で、大動脈解離治療のスペシャリストである志水秀行氏だ。 心臓から体の各部位へと血液を送る「幹」のような太い血管・大動脈。何かしらの原因で血管の壁が傷つき、その内側に血液が流れ込んで血流によって大動脈が裂けてしまうのが大動脈解離だ。 「血管が裂けただけでも危険ですが、放置していると大動脈が膨らんで破裂しやすくなったり、血液がうまく流れず臓器への血流が悪くなったりします。治療が少し遅れただけでも命取りになりかねません」 死をも招きかねない大動脈解離を防ぐためには、平時から体に気を配ることがまず大切だ。 「動脈硬化が進んでいる人や高齢者は大動脈解離を起こしやすいものの、中には生まれつき血管が弱くて裂けやすく、若いうちから解離する患者さんもいます。もしこういった点に心当たりがあって気になる人は、病院で心エコー検査や造影CTスキャンなどを受けてみるといいかもしれません」 血管の壁は高血圧や脂質異常症、喫煙などによって少しずつ傷つき、解離しやすくなっていく。一般的な生活習慣病と同じく暴飲暴食と過度なストレスを避けて、適度な運動を心がけるのが最良の予防法だろう。
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