バリ島の棚田や熱帯雨林で、幸福に生きるための精神哲学「トリ・ヒタ・カラナ」を学ぶ
2時間ほど歩いて到着したボンカサ村には、巨大なバンヤンツリーが村の守り神として祀られていた。そこに女性たちが、ヤシの葉で編んだ皿に色とりどりの花を盛った供物「チャナン」を捧げている。「美しいものを神々に捧げたい」という気持ちが伝わってくるシーンだ。そもそも「バリ」の名は「供物」に由来するという説がある。神々とともに生きる島人たちの日常風景を見るうちに、「バリ島そのものが、神への捧げものなのかもしれない」と思えてきた。
トリ・ヒタ・カラナの精神は、バリ島に限らず、誰もがどこででも取り入れられる。環境を尊重し、社会との調和を大切にしながら、自分自身の生活の質を高める……。自然とともに豊かに生きる視点を、あらためて考えさせられる旅になった。 Photo&Text:鈴木博美