【解説】南海トラフ“巨大地震注意”って結局なんだった?頻発する関東の地震との関連は?
■実際“巨大地震”がおこる確率とは
では実際にどの程度、地震がおこる確率は高まっているのか。南海トラフ巨大地震については、そもそも“平常時”であっても、今後30年以内に発生する確率が70%から80%とされています。これを1週間に換算してみると、千回地震があったとして、そのうち、だいたい1回巨大地震がおこる、という確率です。 今回はマグニチュード7クラスの地震がおきましたが、過去の世界の事例をみると、この規模の地震がおきたあと1週間以内にマグニチュード8クラス以上の巨大地震がおこる可能性は数百回に1回程度。これは先ほどの「平常時」と比べると数倍高くなっています。 地震調査委員会の平田委員長は、「地震学的にみれば“数倍高くなった”ことは極めて高い確率」だと話しています。
■“数百回に1回”どう捉えるか
数百回に1回であれば、それほど深刻に捉える必要はない・・・と思う人もいるかもしれません。ただその“その1回”がおこったときの被害は計り知れません。その1つが、東日本大震災です。2011年3月11日、マグニチュード9.0の巨大地震が発生しましたが、実はその2日前の3月9日、マグニチュード7.3の地震がおきていました。 こうした背景もあり、“確実に1週間以内に地震がおこるわけではないが、平常時とくらべると可能性が高まっているので、いざというときにすぐ避難できるよう備えを再確認してください”と呼びかけています。今回は地震が発生してから1週間、気象庁などが地盤の変化を監視してきました。震源地の日向灘は陸地から離れていることもあり、震度1以上を観測する地震こそ多くはないものの、平常時よりも地震が多い状況は継続しています。 ただ、通常地震後にみられる変化以外は観測されなかったため、発生からちょうど1週間がたった15日午後5時、政府は呼びかけを終わらせると発表しました。
■“巨大地震注意”に“解除”はない?
しかし、そもそも南海トラフ地震の臨時情報は、警報や注意報のように「解除」されるということがありません。通常大きな地震が発生した直後に一番地震が多くなるため、“特に注意が必要な期間は終わった”というだけで、過去の例をみると数か月~数年後に後発地震がおきたこともあります。また、この1週間という数字に科学的根拠があるわけでもありません。臨時情報の制度をつくるにあたり、“どの程度の期間、注意しながらの生活に我慢できるか”という調査をした結果、その限界が1週間だったため決められました。
■今後どのように過ごせば良い?
こうしたことから、内閣府の防災担当は、「通常の生活を送って問題ないが、引き続き日頃からの地震の備えを整えることが大切だ」としています。たとえば、地域のハザードマップでどのような危険があるか確認して、避難経路を確認する。家具の転倒防止や、窓ガラスの飛散防止対策をする、などの対策が大切です。 日本ではいつどこで地震がおこるか分かりません。今回、注意が呼びかけられた地域に限らず、いざ地震がおこったときに自分がどのように行動するかシミュレーションすることが大切です。