「視力」と認知症との意外な関係。スマホ、紫外線、飲酒…目への悪影響で視力が下がると、認知症リスクは約1.5倍に!【山田悠史医師】
紫外線、喫煙、飲酒、コンタクトの誤用が目の健康の妨げに
日常生活において、目の健康に影響を及ぼす生活習慣はスマートフォンに限られたものでもありません。例えば、紫外線を浴びること、喫煙、飲酒といった習慣は白内障のリスクになり(参考文献3)、高血圧や糖尿病といった生活習慣に密接に関連した病気は緑内障のリスクになることが知られています(参考文献4,5)。あるいは、コンタクトレンズを使用される方は、その間違った使用により、さまざまな目の合併症のリスクと関連してしまうことがあります。感染症を含む一部の合併症は、失明に繋がる場合もあるのです。 このように、実は日常生活の中には、目の健康に悪影響を及ぼす習慣がたくさんあります。にもかかわらず、おそらく私たちの多くは普段、目が見えるということが当たり前すぎて、目の健康について気を配るということは少ないかもしれません。目を休めるために、スマートフォンから離れる時間を作ったり、外出前に紫外線から目を守る方法を考えたりすることがどれほどあるでしょうか。
視力低下は避けることができる 目は脳に届ける情報をキャッチする大切なアンテナの一つです。視力が低下したら眼鏡やコンタクトレンズを使用すれば良いと考えている人も多いかもしれませんが、視覚の異常は単なる不便さだけでなく、実は脳の健康にも影響を与える可能性があることが分かってきました。 50歳以上の成人において、生活習慣次第では「回避が可能だった」視力低下や失明を持つ人の割合は、世界で12.6%と推定されています(参考文献6)。この数字は決して小さくありません。多くの人々が「予防可能だったにもかかわらず」、50歳を超えて視覚の問題を抱えることになっているのです。
視力が下がると、認知症リスクは約1.5倍に増加
そして、ここからが重要なのですが、この視力の低下が、どうやら認知症リスクになるようなのです。実際、最近の研究では、視覚の異常と認知症リスクの間に明確な関連性が示されるようになってきました。
山田 悠史