追徴課税の可能性も…知らないと損をする〈デジタル資産〉の「相続申告」への悪しき影響【専門家が助言】
これからの「デジタル相続」の可能性
考えてみれば、そもそも通貨というものは相互間の信頼に基づいて流通しているモノにすぎず、これはすでに現金といったモノの領域を超えて、口座という仮想空間で勝手に動き回るソフトとして認識されています。 そういった意味では仮想通貨に代表されるようなデジタル資産の領域はすでに社会においては確立されており、さらに種類が増えて拡張していく最中にあるともいえます。 であるならば、これらをすべて包含するデジタル上ですべての資産を取り込んでしまうことは、社会的にも非常に重要な意味を持つことになると考えます。デジタル相続ができるようになれば、相続に備えていろいろな準備も簡単にできるようになるでしょう。 まさにAIを駆使して、5年後、10年後の自身の財産がどのように変わっていくのか、ローンを組んでマンションを買うべきか否か、どんな分野に投資を行えばよいのか、様々なシミュレーションが簡単にできるようになるでしょう。 戸籍謄本や住民票なども連結させておけば、相続人がすぐに特定できる。相続の際も、いちいち金融機関から残高証明を取り寄せたり、口座を閉鎖するために窓口に赴いたり、役所に行って各課で手続きを行うなどといった面倒な工程をすべてオンライン上で済ませることができるようになるでしょう。相続税の計算もたちどころに行われ、納税もエンターキー1本で「はい、おしまい」にできるはずです。 国はデジタル庁を立ち上げていますが、いまだに国民にはその目指す方向性が良く伝わってはいないように感じます。これからの大量相続時代、こうしたデジタル化の作業をぜひデジタル庁などが音頭をとり推進していただきたいと思います。 牧野 知弘 オラガ総研 代表取締役
牧野 知弘