<センバツ>明石商・来田、ノーステップ打法でサヨナラ打 「うまく引きつけて打てた」
カクテル光線に照らされた白球がライナーで右翼席に勢いよく入った。明石商の1番・来田が一回のソロに続くサヨナラアーチ。来田で始まり、来田で終えた。 【本塁打を放ち拳をつき上げる来田選手】 九回無死、2ボール2ストライクからの5球目、内角高めの142キロの直球を強振した。一回はスライダーを右翼席に運んだが、どちらも2ストライクと追い込まれていた。「うまく球を引きつけて打てた」のは、高く上げていた足をノーステップ打法に切り替えていたからだ。 フルスイングが魅力の左打者だが、体が前に突っ込む癖があった。そこで昨秋、狭間監督から追い込まれた時はノーステップで打つよう指導を受けていた。「お前ならそれでもホームランを打てる」と太鼓判を押されていた。 1年生の春から1番打者に抜てきされるだけでも狭間監督の期待の大きさがうかがえるが、送りバントやスクイズを多用するチームにおいて「来田には(バントを)一回もさせていない。打たせた方が確率が高い」と狭間監督。この日も三塁に走者を置いた二回と六回の打席でも強攻させていた。 初出場だった3年前は準々決勝の龍谷大平安戦で5安打と打てず、1―2で延長十二回サヨナラ負けした。そのチームに欠けていた一発の長打力を、今大会では2年生が埋め、明石商が初めて4強に進出した。【安田光高】