マイナス金利政策解除後の政策金利は何か?
日本銀行の政策金利の変遷
金融市場は、今年3月あるいは4月の金融政策決定会合で、日本銀行がマイナス金利政策の解除に踏み切る、との見方を強めている。さらに解除後に、現在の3層構造の日銀当座預金制度が見直されるのか、日本銀行は何を政策金利とするのか、といった点にも金融市場は大きな関心を寄せている。 かつて日本銀行は、銀行に資金を貸し出す際に適用される金利である「公定歩合」を政策金利としていた。その後日本銀行は、銀行間での資金融通を担うコール市場での「無担保コールレート(翌日物)」の金利を政策金利と位置づけ、銀行の資金需給の調整を通じて、その金利をコントロールした。公定歩合は無担保コールレート(翌日物)の上限を画す役割を担うようになり、現在、「基準貸付利率」と呼ばれている。 2008年10月には、補完当座預金制度が導入され、所要準備(法定準備預金額)を超える準備預金の保有に対して、日本銀行が利子を払うことになった。これが付利金利と呼ばれるものである。ただし、そのもとでも政策金利は無担保コールレート(翌日物)だった。 2016年2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入する前には、この付利金利は+0.1%であり、そのもとで無担保コールレート(翌日物)の平均水準は+0.1%よりも低く0%に近いプラスの領域にあった。
マイナス金利解除後の短期金利水準
日本銀行の内田副総裁は2月8日の講演で、マイナス金利政策解除後の短期金利について思わせぶりな発言をし、金融市場に様々な憶測を生じさせている。それが以下のコメントである。 「まず、マイナス金利については、解除するとしてどのように短期の政策金利を設定するかという論点があります。マイナス金利の導入前には、日本銀行の当座預金取引先の超過準備に0.1%の金利を付利し、取引先でない金融機関との裁定取引が行われる結果、短期金融市場では、無担保コールレートが0~0.1%の範囲で推移していました。仮にこの状態に戻すとすれば、現在の無担保コールレートは-0.1~0%ですので、0.1%の利上げということになります。この点は、主として短期金融市場の機能をどう維持するかという論点です。」