怒りをぶつけて相手を動かそうとする人の対処法とは?相手の問題で「あなたのせい」ではない。気持ちを伝えるときは「私は」を主語にして
◆相手を「猫」と思って心理的な距離をとってみる。 まずは、「相手の感情」は相手のものだと線引きすることが大事です。相手の感情は、「相手の領域」といえます。 目の前の人の「怒り」は、相手の問題であって、「あなたのせい」ではありません。 その人は、その人の理由があって勝手に怒っている。それくらいの線引きで考えてみるのです。 そのうえで、「心理的に距離をとる」のです。 たとえばですが、かかわらなければいけない相手が上司だとしたら、上司を「人」と思うのではなく、「猫」と思ってみるというやり方があります。 「なんかシャーシャー言ってるけど、お腹が減ったのかな?」 「うなってるけど、しばらくほうっておけば寝だすかも」 というように上司を心の中で見てみるのです。 目の前の怒ってくる上司にこういう見方ができれば、まあまあ「心理的な距離」をつくれるのではないでしょうか。 そうやって心理的に距離をとったうえで、少し落ち着いた気持ちで相手に接することができれば、相手との関係も少しは変わっていくこともあると思います。 「自分のせい」だと思うのをやめて、そっと距離をとってみる。それが難しいなら、心理的な距離をとってみる。 そんなやり方もあると覚えておいてほしいなと思います。 ポイント:「自分のせい」と思うのをやめて、そっと距離をとる
◆「伝える」って大事です。「自分の気持ちを大切にしている」ということになるんですよ。 「怒りで相手を思いどおりに動かそう」とする人に対して、自分がイヤな思いをしているとします。 距離を少しとってみてしんどさが減ってきたら、あらためて「伝えてみる」のもいいかもしれません。 「伝える」って大事です。 もちろん、どうでもいい人、自分にとってそんなに重要でない人に、無理をして、勇気をもって「伝える」ことはないですよ。 でも、重要な人だったり、わかってもらえるとうれしい人だったら、伝えてみることも一つではないでしょうか。 不機嫌な態度をされるのがイヤだということを伝えてみたら、「え? 私、不機嫌だった?」と自分の行動にまったく無自覚だった、なんてこともあります。 もちろん、よけい不機嫌になられる可能性もありますが、結果はどうあれ「自分が伝えた」ということは、大きな前進だと思います。 努力が必ず実るわけではないけど、自分の気持ちは伝えたほうがいいです。 それは「自分の気持ちを大切にしている」ということになりますから。
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