日本国債格下げ「警告」を期待、緩んだ財政に外圧必要-BNP中空氏
(ブルームバーグ): BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部の中空麻奈副会長は、国の財政状況の悪化に歯止めをかけるためには、格付け機関による日本国債格下げの警告といった外圧が必要だとの認識を示した。ブルームバーグのインタビューに2日応じた。
政府の経済財政諮問会議の民間議員も務める中空氏は、昨今の財政は「人気取りの政策になっている」と分析。10月の衆院選で少数与党の政治構造となったことも、財政運営の緩みを招く一因との見方を示した。
財政への危機感が乏しい現状については、江戸幕府による開国のきっかけとなり「泰平の眠りを覚ます」とも表現された黒船来航に言及。日本国債は格下げのリスクがあると外部から警鐘を鳴らす「黒船を期待するところが正直ある」とし、格付け機関に「格下げすると言われたいぐらいだ」と語った。
実際に格付けが下がるとはみていないが、「下がり始めたら本当に早いため、そこは意識する必要がある」と言う。
国際通貨基金(IMF)によると、日本の債務残高の対国内総生産(GDP)比は250%超と世界で最悪の水準にある。新たな経済対策の裏付けとなる今年度補正予算では、一般会計総額約14兆円の約半分を国債の追加発行で賄う。政府は2025年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を目標に掲げるが、歳出構造の平時化は足踏み状態だ。
中空氏は、仮にPBの黒字化が未達となっても目標を堅持することが不可欠だと強調する。目標年度を先送りし、財政健全化目標の指標をより達成が難しいとされる債務残高対GDP比に切り替えることも選択肢になり得るとした一方、「PBよりも厳しい目標を立てる提案が受け入れられるとは思わないため、せめてPB黒字化は死守すべきということだ」と話した。
12月利上げの可能性
日本銀行の金融政策について中空氏は、データが整うなどの条件を満たせば「淡々と金利を上げていくのが当然だ」と述べた。12月の金融政策決定会合で日銀が追加利上げに動く可能性もあるとの見方を示した。一方、米国のトランプ新政権が来年1月に発足するのを見据え、同月の会合まで「手札を残す可能性もゼロではない」とも話した。