ディオールのキム・ジョーンズ、“バレエコア”でメンズウェアを再定義【2024年秋冬コレクション】
キム・ジョーンズがアーティスティック・ディレクターを務める、ディオール メンズの最新ショーは壮観だった。パリ7区にあるエコール・ミリテールの前庭で発表された2024-25年秋冬コレクションは、今は亡きジョーンズのおじでバレエダンサーのコリン・ジョーンズ、そしてダンサーで振付師のルドルフ・ヌレエフに捧げられた。これは、彼にとって“バレエコア”のトレンドをメンズウェアに活かす絶好のチャンスでもあった。以下、ディオールの2024-25年秋冬メンズコレクションから、見逃せないハイライトを紹介する。 【写真を見る】キム・ジョーンズによるディオール2024-25年秋冬コレクション全ルックをチェック! ■舞台は宇宙 シャネルのカール・ラガーフェルドがそうだったように、キム・ジョーンズはランウェイの舞台演出においても趣向を凝らしてきた。2023年春夏ショーでは花咲く野原を再現し、2024年春夏ショーでは床に設えられた跳ね上げ扉一つ一つからモデルを同時に登場させりもした。今回ジョーンズが創り出したのは、星空が照らす薄明かりに包まれた舞台だった。モデルたちがひとりずつ、円形のステージを輪になって埋めていくと、中央の舞台が立ち上がり、回転を始めた。 ■“バレエコア”がメンズウェアに到来 最新コレクションでキム・ジョーンズがインスピレーションの源としたのが、ともにバレエダンサーだったおじのコリン・ジョーンズと、ルドルフ・ヌレエフである。後に写真家に転向したコリンが幾度も撮影していたのがヌレエフだった。結果として生まれたコレクションには、バレエシューズやストラップがクロスしたスリッポン、鮮やかなハイソックス、レオタードを思わせるシアー素材のトップ、果てはセミシアーのタイツなど、ダンスの要素がふんだんに盛り込まれた。これは、それまでウィメンズウェアに限定されていたバレエコアのトレンドがメンズウェアに到来したことを告げるものだった。 ■テーラリングを再構築 クリスチャン・ディオール以来のテーラリングの伝統に則りながら、ジョーンズはブランドのデザインコードを再定義した。定番のダブルブレストスーツに加え、彼はディオールのサルトリアルスタイルの可能性を押し広げたように思えた。それが感じられたのは、ショート丈のオーバーオール、プランジネックのトップ、それにショートコートを合わせた、流れるようなシルエットだった。また、レザーのノースリーブトップやケープ、クロコダイルパターンのチュニックなど斬新なアイテムもお目見えした。 ■主役アクセサリーはヘアバンド バレエのテーマに相応しく、多くのモデルがヘアバンドを頭に着け、髪を纏めていた。また、帽子の代わりにターバンを巻いたルックも複数登場し、優雅な印象を振り撒いた。 From GQ France By Adrien Communier Translated and Adapted by Yuzuru Todayama