コスプレするのは何のため? モチベーションは作品“愛”がすべて
コスプレ写真の作品は、撮影者とコスプレイヤーとの共同作業。お互いに納得がいくまでコミュニケーションを重ね、作品性を高めていく。撮り手側のモチベーションは、自分が思い描いた作品を撮ることに尽きるが、コスプレイヤー側のモチベーションは何なのだろう。 コミケなどのイベントには必ず来場し、時間が許す限りグループ撮影会にも積極的に参加するコスプレイヤーの神無さんに、そのエネルギーの源について話を聞いた。
初コスプレは高校生 今では衣装は自主制作
現在、デザイン系の専門学校に通う神無さんは21歳。コスプレに興味を持ったのは15歳のころだった。そして、実際にコスプレを始めたのが翌年、高校生になってからだったという。 「衣装やウィッグにお金がかかるので、お小遣いを貯めてから買いに行くことにしました。やっと買えた! やった! という気持ちでした」 始めてしばらくは既製品のコスプレ衣装を購入し、イベントに参加していたが、一昨年前の夏コミ(コミックマーケット・C88)では、初めてイチから衣装作りをしたという。 「クレオパトラのコスプレがやりたかったんです。でも、完全オリジナルだし、既製品がないので作ることにしました。それまで型紙を作って、裁縫をして衣装を作ったことなんてなかったので、いろいろ調べて独学で作り上げました」 もともとクリエイティブな作業は好きだったため、抵抗なく衣装を作ることができた。以降、イベントのたびにコスプレ衣装を自作しているという。学校に行きながらの作業なので、1週間ほどで集中して作るという。1着につき、材料費は1万円程度かけている。 「こだわる人なら、もっとお金をかけるのでしょうけど、学生なので折り合いをつけつつ……(笑)。その意味でも、衣装を自作したほうが安く済むんです」 コミケなどのイベントに参加するのは、趣味の合う写真家と出会い意気投合したら、作品撮りをお願いするのが目的だ。しかし、写真集などの制作に前向きになったのは2年ほど前だ。 「(作品集なんて)畏れ多いって思ってて。たまたま、インターネットで知り合ったカメラマンさんに“人魚のコスプレで写真集作りませんか”と声をかけられて、私も人魚が好きだったのでお願いすることにしました」と神無さんは言う。 人魚のヒレの衣装は写真家が用意し、撮影に臨んだ。ほか2人のコスプレイヤーとの連名であったが、自分の初写真集が完成し、昨年の夏コミで頒布した。 「コミケでは、カメラマンさんのスペースで売り子として頒布のお手伝いをしました。趣味性の強い写真集なので、売れた冊数こそ多くはありませんでしたが、同じ趣味を持つ人たりには好評でした。それで、紙として残すことへの興味が湧くようになりました」