動物の気持ちを聞いて 石村嘉成「いのちの色たち」展、兵庫県立美術館ギャラリーで
2歳のときに発達障害の一つである自閉症と診断された画家、石村嘉成氏(30)の絵画展「いのちの色たち」(産経新聞社など主催)が、兵庫県立美術館ギャラリーで12月8日まで開催されている。献身的に療育に努めてくれた母、有希子さんを11歳のときにがんで失い、それからは父、和徳氏と二人三脚。高校3年生のときに出会った美術講師、寺尾いずみ氏のおかげで版画、そしてアクリル絵画の才能が開花した。 寺尾氏は初めに版画を勧めたとき、「形はしっかりと正確に描きなさい。色は実際の色にとらわれずに思った色で」と指導した。その自由な色使いが「いのちの色」につながっている。 嘉成氏の描く動物は、見ている者へ話しかけてくるという。和徳氏によれば「嘉成が頭の中で動物の傍らまでゆき、動物たちと話し、彼らの気持ちを聞いてあげるから」。そしてすべての動物に強い「目力」がある。それは絵の最後に描く目の中の白い点。光の点が強く影響している。 「力強さを出すか、優しさを出すかで、白をどこに入れるかが決まります。僕は一度試しに白を入れ、それから離れて見て、合わなければ何度も描き直します」と嘉成氏。白を入れる場所を間違うと、動物の気持ちも変わってしまい、話さなくなる―というわけだ。 さぁ、あなたも石村ワールドで、動物たちと触れ合ってみては?