温かさと作り手のぬくもりが感じられる岩手のホームスパン 工房を訪ねる
IBC岩手放送
岩手に伝わる羊毛を使った織物ホームスパンは、寒さがより一層厳しくなるこれからの時期に使いたいマフラーなどのアイテムが充実しています。冬の訪れを前に盛岡市の工房を訪ねました。 【写真を見る】温かさと作り手のぬくもりが感じられる岩手のホームスパン 工房を訪ねる 盛岡市大慈寺町の工房でホームスパン製品を手掛けるのが、「みちのくあかね会」です。 1962年・昭和37年の設立以来、60年以上に渡って盛岡でホームスパンを作り続けてきました。 工房は2022年、市内の名須川町から大慈寺町に移しました。 羊毛を手染めし、手で紡ぎ、手織りして作るホームスパン。 ホームは「家」、スパンは「紡ぐ」という意味で、「家で紡ぐ」という名の通り、大正から昭和にかけて農家の家庭での副業として定着したと言われています。 (みちのくあかね会 渡辺未央さん) 「軽さと柔らかさはかけがえのないものだと思います。色も羊毛を染めるところからしますので、その混ざり具合や織った時の表情もホームスパンの素敵なところだと思います」 みちのくあかね会で使う羊毛は主にオーストラリアやニュージーランドから輸入したもので繊維が細く、肌触りが良いことから、マフラーなど身につけるものに向いています。 (渡辺未央さんとのやりとり) 「これがカーディングという作業をする機械です。ピンクと白の糸がありますが、デザインに従って何パーセントずつ混ぜるかを決めて機械に通します」 「そうすると混ざって出てくる?」「そうです」 不純物を取り除き、繊維を一定方向にそろえる「カーディング」を施した羊毛は、触るとふかふかで布団のよう。 この作業を行うことで羊毛を糸にしやすくなるといいます。 丁寧に紡がれた糸はグラデーションができ、これがより色と柄の変化に富んだ製品を生み出します。 そして、織り。 工房内にある大小合わせて12台の機織り機から聞こえる音はかすかです。 空気を含んだ柔らかな糸を生かすため織りの作業も優しく行っているからだといいます。 こうして手作業の積み重ねで完成したホームスパンは、マフラーやネックウェアといったこれからの時期に欠かせないアイテムになります。