SNS悪用、根こそぎ詐取 投資・ロマンス詐欺の県内被害額、今年4.9億円
交流サイト(SNS)を悪用した詐欺被害の認知件数が、県内で増加している。「投資詐欺」「ロマンス詐欺」の今年の合計被害額は先月末現在で約4億9千万円で、昨年同期の約2倍だ。投資絡みだけに1件当たりの金額は大きく、持ち金を根こそぎ詐取する手口が目立つ。新NISA(少額投資非課税制度)導入や、インターネット上でもできることで、投資やSNSが、より身近になったことが背景にあるという。 県警生活安全企画課によると、先月末まで認知した被害のうち、著名人などを装い、株や外国為替証拠金取引(FX)、暗号資産の取引などに勧誘する投資詐欺は38件で1億9695万円、恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭をだまし取るロマンス詐欺は41件で2億9292万円。合計被害額は4億8988万円で、前年同期比で2億5053万円多くなっている。 「貯蓄の多い世代は狙われやすい。ただ、若い世代の被害もあり、年代性別に関係なく、SNSを利用する人は注意が必要だ」と、特殊詐欺やSNS型詐欺の捜査を担う、県警組織犯罪対策課は指摘する。被害者の年代は、退職金など、まとまった現金を持っていることが多い60代が24件2億5302万円と突出しているが、20~80代まで幅広い。
犯人側のだましの手口も巧妙化している。被害者を信用させるため、投資による利益が出ているかのように、グラフや表など金額や数値が表示される架空サイトに誘導。中には、利益分として被害者の口座などに現金を振り込むケースもある。 「日本に行って結婚したい」「一緒に稼ごう」…。ロマンス詐欺でも、甘い言葉や親しみを感じるやりとりで、相手に親近感を抱かせた後、最終的には投資話を持ちかけるケースは多い。現金6310万円をだまし取られた山形市の自営業の60代男性は、フェイスブックで知り合った女とされるアカウントから、老後の資産話を持ちかけられた。投資に詳しい叔母を紹介された後、投資名目などで現金の要求が続いた。 同課によると、振り込み先の口座が毎回別名義になっている場合などは詐欺を疑うべきだという。投資会社を示されれば、会社の所在地などを確認するのも有効だという。同課は「会ったことのない相手から金銭を要求されたらまずは、詐欺を疑うべきだ」と注意を呼びかけている。