「マイナンバー×健康保険証」一体化で起きる大論争、解決に導く“3つの選択肢”とは
情報収集が難しい時代、どうすれば良い?
たとえば、2024年11月21日の厚生労働省の発表をTBSが報じると、「マイナ保険証の利用率は今年10月時点で15%ほどに留まっている」という記事になる。しかし、厚労省資料中のグラフを素直に読むと「マイナ保険証の利用率は昨年12月時点の4.29%から今年10月時点の15.67%へ3倍も急伸している」ということが分かる。これを報じない状況を、筆者はメディアが印象操作をしているように感じる。 そうした中で、主戦場をネットに移し、右(政権与党)か左(反対野党)かではなく、マイナカードを中立的な立場で冷静に理解する第3の勢力を増やせば良いのである。「あれ?なんか、どっちが言ってることも怪しいなぁ、本当はこっちが正論なんじゃない?」というまっとう言論がネットで広がる努力をすれば良いのだ。Youtubeの厚生労働省公式チャネルにあるビデオは、お役所資料の棒読みで発信力が弱すぎる。もっと一般人にとって分かり易いものに作り直せるはずだ。 サービスの普及初期にトラブルはつきものである。それでも社会基盤として必要性のあるものは、いずれは普及するのだ。今、為すべきことは、初期トラブルを速やかに解決し、暫定的経過措置の対象者を極力少なくする方向で、地方自治体や医療機関など関係者全員が力を注ぐことである。
〔参考文献〕 ・生活保護医療費 地域ごとに分析, 2024年10月22日, 日本経済新聞 ミニ解説:本記事によれば、生活保護受給者が22年度に同じ診療科を月15回以上受信した受給者は1万人を超えるという。また20年度に向精神薬が不適切に重複して処方された受給者は約3,500人に上ったという。なお、生活保護受給者は健康保険制度の対象外であり、全額医療扶助される。全国の生活保護被保護者数は約200万人である。 ・「日本で起きる「金融関連の犯罪」徹底解説」,2024年7月30日, FinTech Journal, 筆者 ・マイナ保険証の利用促進等について, 2024年11月21日,厚生労働省 社会保障審議会(医療保険部会)資料,https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001323478.pdf ミニ解説:pdf資料の1頁目のグラフにマイナ保険証利用率のグラフがある。これを素直な目で見ると、どのような印象を持つであろうか? ・「マイナ保険証」利用率は約15% 厚労省が公表 健康保険証の新規発行停止が12月2日に迫る, 2024年11月21日, TBS NEWS DIG ・立憲民主党, 特集 マイナ保険証問題,https://cdp-japan.jp/feature/maina-health-insurance-card_problem ミニ解説:「今の健康保険証を守ります」がスローガンになので、暫定的な廃止の延期ではなく、未来永劫、現状を維持継続することが党是になっていることが分かる。 ・マイナンバー ―民主党政権下で作った行政コスト削減の画期的法案, 2013.4.26, 岡田かつや,https://www.katsuya.net/topics/article-2767.html ミニ解説:個人番号(マイナンバー)制度関連法案は民主党政権時の内閣で作られたものであることが述べられている。マイナンバーとマイナカードは別物であるが、当時からプライバシーの保護を重点的に検討してきた。 ・健康保険の不正使用を許さぬ仕組みに, 2018年12月13日, 日本経済新聞 ・保険証認証のためのデータ交換基準に関する研究, 里村洋一(千葉大学)他, 平成15年, 厚生労働科学研究成果データベース,https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/8787 ・全国保険医団体連合会,https://www.youtube.com/watch?v=cAZVUZUx-1o ミニ解説:マイナ保険証反対のビデオを多数アップしている全国保険医団体連合会は、共産党系の団体である。反原発、集団的自衛権行使反対など、医療とは全く関係のない政治的な主張もしている任意団体。 ・現行保険証〝不正利用の手口〟資格確認証で混乱に拍車, 2023年8月10日, 夕刊フジ,https://www.zakzak.co.jp/article/20230810-DFZBELGY3BOWPOPHBPUCWT6KLQ/
執筆:サイバー大学 取締役 教授 福泉 武史