【日本ハム】再びのファーム再調整となった野村佑希にOB・田中幸雄氏が見る「復活のカギ」とは
日本ハムから、また新たなロマン砲が出てきた。外野手の水谷瞬は交流戦史上最高打率となる「.438」をマークし、MVPを獲得。オフに現役ドラフトでソフトバンクから移籍。めぐまれた体格からなる豪快な打撃で球界を席巻した。 【動画】エスコン初本塁打を記録した野村が、昨季本拠地最終戦で13号ソロを放ったシーン 今季の日本ハムは投打それぞれで好調の要因が挙げられるが、中でも目立つのは野手陣における新戦力の台頭だろう。 プロ6年目で自身初の開幕スタメンマスクを勝ち取った田宮裕涼は、今や近藤健介(ソフトバンク)と首位打者争いをくり広げ、日本ハムファンばかりか、全国区のスターに駆け上がろうとしている。チームにとっても、近年課題とされてきた正捕手の座を射止める寸前まで来ている。 田宮と同じくショートで自身初の開幕スタメンを掴んだ3年目の水野達稀は、プロ初本塁打やサヨナラ打を記録するなど着実に成長を示しているほか、堅実な守備も光る。 さらに、サードでのレギュラー定着を狙うのが、郡司裕也だ。本職は捕手でありながら、持ち味である打撃を活かすため、出場機会を広げようと春季キャンプからこれまで主に守っていたファーストやレフトに加え、新たにサードに取り組んだ。 自身の努力と持ち前の野球センス、さらには兼ねてより定評のあった打力も存分に発揮し、交流戦でも古巣の中日戦で本塁打を放つなど存在感を示した。 そんな新戦力の活躍が光る一方で、悔しさで闘志を燃やしている者もいる。21日からのリーグ戦再開を前に再びファーム調整を命じられたのが野村佑希だ。19日に登録抹消となった。 野村は開幕サードでスタメン出場を果たしながら、4月12日に登録抹消。2軍で結果を積み上げ、再昇格してきたが、6月は打率「.211」とふるわなかった。 球団OBでファーム監督として指導経験もある”ミスターファイターズ”こと田中幸雄氏は、4月の降格時の野村に関して「キレがなく(バットが)振れていない」と感じたそう。とはいえ、昨年はチームの4番に座るなど、実力は十分に持っているだけに、ファームで結果を残して、5月5日に再昇格を果たした。一方、1軍では同じポジションを争う郡司が好調を維持しており、なかなか先発での出場機会も得られなかった。 そんな中、田中氏は今回の野村の1軍出場機会の中で印象に残ったシーンとして、5月22日のオリックス戦をあげた。 本拠地で行われたゲームに試合途中から出場、4-4で迎えた延長10回。先頭打者として打席に立つと、初球を振り抜きセンターへの3塁打を放ち、チームのサヨナラ勝ちへ結びつける大仕事をやってのけた。 塁上では普段あまりグラウンド上で感情をあらわにすることのない野村が、渾身のガッツポーズと雄たけびをあげたことも注目された。 田中氏は「あのくらい毎試合気を張って試合に出ることは精神的にもつかれるとは思う。だけど、そのくらいの気持ちを持つことは大事」と、闘争心を前面に出すことも時には必要と指摘する。 加えて、「どうしたらスタメンに定着できるかは、ここ数年いろいろな経験をしてきた中で彼自身が一番考えている」とし、若きスラッガーの復活を心待ちにした。 清宮幸太郎、万波中正、野村の3人に関しては昨年も新庄剛志監督がクリーンアップを組む試合もあるなど、期待をかけてきたことも知られている。野村は昨年開業した本拠地エスコンフィールドで、チーム初の本塁打を放った選手でもある。スケールの大きい打撃、長打力は誰もが持てる力ではなく、ロマン砲3人そろっての本格覚醒が待たれている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]