飲食店を悩ます「ドタキャン」何が問題なのか やむを得ないキャンセルのときにできること
そのほかにも、メディアやSNSで飲食店予約の団体キャンセルの事案が報じられるのを目にするが、実際にキャンセルしているのはどんな人たちなのだろうか。 「キャンセルは年齢層、男女を問わず起きています。ドタキャン自体の発生頻度も、最近急増したというようなこともありません」と述べるのは、飲食店のキャンセル事情に詳しい弁護士の北周士さんだ。 北さんは、飲食店や美容院などのキャンセル料を支払わなかったゲストに対して、店に代わってキャンセル料の回収を代行する「ノーキャンドットコム」を2019年から運営している。
北さんに回収を依頼している飲食店の多くは個人店、価格帯は比較的カジュアルな店が多いという。予約人数では2名から6名程度の依頼が多いそうだ。 その理由として、高級店と大規模チェーン店にはそれぞれ、ドタキャンが比較的少ないことの理由があるという。 「高級店はドタキャンの発生頻度が低いこととデポジットの導入なども可能なことから、ご依頼の頻度は低いです。また大規模チェーン店は予約のリマインドをシステムとして導入できていることが多く、かつ予約の比率がそれほど高くないこともドタキャンでの依頼が比較的少ない理由です」(北さん)
宮本さんも「キャンセルの件数自体は昔から比べれば減っている」という。その理由として「キャンセルしたらキャンセル料金を支払うという感覚が社会的通念としてある程度浸透してきた」ことを挙げる。 ■最終的にはシステム構築とゲストのモラル それでも、やはりドタキャンはなくならず、そのたびに大きな損失を店舗にもたらしている。 宮本さんも、悪天候や事故などの避けられない理由でのドタキャンの場合はほとんどキャンセル料をとっておらず、ウェブ予約ではクレジットカードの登録を必須にもしている。
しかしながら、昔からの常連や高齢のゲストなどからの予約はまだ電話が多く、予約の間口を広げておくためにも、予約をネット経由だけにしぼることはできないと言う。 「ホテルや飛行機でキャンセル料を払うのは一般的になってきたのに、飲食店のそれはまだ難しいのが現実です。その理由は、残念ですが飲食店の『キャンセルするときは連絡して。キャンセル料の規定を守って』という声が一般の方に届いていないということ。行政に働きかける力もまだ弱いと感じています」(宮本さん)