大阪・東洋陶磁美術館ヨコの新カフェ、メニューが異彩を放っていた
4月12日にリニューアルオープンした「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)の西隣り、堂島川をまたぐ橋のたもとに同日オープンした「cafe KITONARI(カフェ キトナリ)」。店名は陶磁「器」の美術館の「隣」にあることなどに由来し、併設店ならではのユニークなメニューが味わえる。 【写真】どこ座ってもアタリ席!ガラス張りの店内 ■ 「美術館トナリ」ならではのメニュー 美術館の併設カフェといえば、「ならでは」のオリジナルメニューに期待がかかるところ。同店には「紫紅釉盆(しこうゆうぼん)」「木葉天目(このはてんもく)」「白磁刻花(はくじこっか)」といった美術館所蔵の花器や茶碗などをモチーフにしたオリジナルのドリンクとスイーツは現在5種類揃い、それぞれの色・フォルム・イメージの再現度の高さに思わず気分がアガる。 グラデーションがなんとも美しい「紫紅釉盆」は、中国明時代に宮廷で愛用された器で、この釉色を再現したドリンク。やわらかく鮮やかな天青色釉と紫紅釉が生み出す紫色をバタフライピーで、さらに金属器に倣った鋲の装飾をグラスのふちに金箔を塗って表現している。 また、天目茶碗の見込みに本物の桑の葉が焼き付けられた「木葉天目」はチョコレートムースになって登場。ふんわりムースをほろ苦ビターなとろけるチョコが包み込み、しっかりと甘いものが食べたいときにおすすめだ。 そして、ひときわ目立っているのが電球のようにつるりと丸いフォルムの「白磁刻花(はくじこっか)」。アロマスモークをバブルドームの中に閉じ込める、バーなどのナイトシーンで人気の「フレーバーブラスター」で、頭でっかちなフォルムの白磁瓶を表現するというユニークさ。 中之島の景色を写すバブルはずっと眺めていたい可愛さがあるが、少し触れるだけで簡単にはじけてしまい儚い・・・でもご安心を。スタッフが何度かふくらませてくれるので、写真を撮ったり動画に納めて、ぜひ楽しいひとときの残り香を持ち帰りたい。 コラボメニューのほかにも、コーヒーやノンアルコールカクテル、ケーキやかぼちゃプリンなどのスイーツに焼き菓子などもスタンバイ。店内で楽しむのはもちろん、多くのメニューがテイクアウト可能だ。 ■ どの席に座っても「アタリ」な眺望 また同店では、中之島の風景を地続きに眺めることができることができるのもポイント。ひと時を過ごすことが楽しみでもあるカフェではできるだけ眺めのいい席を選びたいのが人情だが、四隅に柱がない全面ガラスゆえ死角なしのここではすべてが「アタリ席」。あえてBGMをかけないスタンスからは、訪れる人それぞれに過ごし方を委ねる心地よさが伺える。 再現度が高いオリジナルメニューすべての開発に携わった、カフェ運営会社の飯野祥平さんは、「食べておいしいのはもちろん、撮りたくなる見た目にもこだわりました。思い出を持ち帰っていただいて、写真を共有したり見かえして楽しんでいただければ」と話す。 美術館を訪れる人はもちろん、美術館を利用しなくてもふらりと気軽に入れる中之島の新たなカフェスポット。今後、美術館での特別展などがある際には、限定コラボメニューの販売も考えているそうなので、オリジナルメニューの制覇も楽しみのひとつになりそうだ。 取材・文/脈脈子