仕事中の休憩に罪悪感…?「オフライン恐怖症」があなたの幸福度と生産性を害している可能性について英専門家が解説
休暇中に仕事のEメールをチェックしたことはある?就業時間以降に、ボスから届いた「LINEでのちょっとした話」に応えたことは?もしくはランチ用のサンドイッチを買いに10分間外へ出るだけなのに、カレンダーやスラックの表示を“外出中”にしたことは? 【写真】日本人管理栄養士が指南! 明日から即実践できる、睡眠の質を高める10の食習慣 きっと最低1つは「イエス」と答えた、もしくはすべてイエスだったという人も少なくはないはず。たとえ5分間であろうと1週間であろうと、罪悪感なしに休みを取るのは不可能に思えてしまうのが現代社会だ。 「外出中」のメッセージを作る時、「お急ぎの場合はこちらの.....」と個人携帯の電話番号を加えたりしているのは、恐らく私一人ではないはず。 私のそんな習慣に「FOBO(Fear of Being Offline):オフライン恐怖症」という名前があると聞いた時は(別に驚きはしなかったが)嬉しかった。夕食後(もしくは夕食中に)Eメールの通知がきていないかチラっと確認したり、終業後に友人と外出しているときも何か連絡が来た場合に備えて会社携帯をちくちくと開いたり、私たちは慢性的にオンライン状態で、実際にも隠喩的にもスイッチOFFすることができない働き方になっているようだ。 「長年のうちにそういうカルチャーに変化してきました。私たちはますます忍耐力がなくなり、何でもすぐにやってしまいたくなっているのです」と言うのは、キャリア支援プログラムTalent Cycleの創業者キャロライン・グリーンだ。「パンデミックや生活費高騰でこの数年は厳しく、従業員はかつてないほど多くのことが求められています。たとえ1分でもスイッチオフしたら、何か見逃してしまうのではないかと心配なのです」
オフライン恐怖症にはパンデミックがいろいろな意味で影響を及ぼした。労働市場がかつてないほど小さくなったため、従業員は一生懸命働かなくてはならないと感じているとともに、在宅ワークが増えた。労働時間や場所に柔軟性ができたのはもちろん素晴らしいことである一方、新しいテクノロジーによって私たちはどこにいても(あらゆるところから)働くことができるようになっただけでなく、そう仕向けられた。仕事の全てをスマホに収めることができるから、そのスマホを1日中ポケットの中に入れ、夜はベッドの横に置いておく。1日24時間年中無休で働けるというプレッシャーを感じるのも不思議ではない。 "いつでもすぐに連絡が取れる人"というのは雇用主にとっては夢のような話に聞こえる一方で、その人の幸福度や、生産力の高い労働力にはつながらない。 「私たちは"休みを取るのが怖い世界"に生きています。休むことにポジティブな印象がなく、弱さに見えると思っているからです。この感情が、私たちを果てしなく続く強い不安感に陥れます。常に『このEメールをちょっとチェックするだけ』と言っているのは、つまり永遠に休みがないということ。アドレナリンが常に出まくりの状態は、ストレスホルモンのコルチゾールを過剰に分泌させ、ストレスに対処する能力にも影響を及ぼします。思考力が鈍り、知的明晰さがなくなり、簡単な仕事はこなせても“難しい仕事”ができなくなります」とグリーンは説明する。言い換えれば、常にスイッチがONになっていると仕事のパフォーマンスが余計に悪くなるという、誰もが避けたい結果につながってしまうのだ。 これを読んで、私はオフライン恐怖症かも...?と思ったのであれば、あなたやあなたの雇用主にできることがある。まず企業は、従業員が休むことを受け入れるとともに積極的に推奨するカルチャーを作る必要がある。 「結局は、従業員が期待される仕事量を上手く管理できるように、合理的な会話の場を持つことが大事。そもそもはそれが原因になっているのですから」とグリーンはアドバイスする。SNSの利用時間を制限するアプリを入れるとか、スマホのEメールの通知をオフにするとか、個人でできることもある。在宅ワークしている人は、専用の仕事スペースを設け、1日の終わりにそこで仕事を止め、仕事を自分のプライベートの時間に持って行かないようにしよう。 「自分が『ちょっとこれをやるだけ』と言っているのに気づいたら、『いやそれ、明日まで待てない?』と自問しましょう」とグリーン。短期的な目線ではなく長い目で見れば、そこに注意することが、あなたにとっても雇用主にとっても有益だとわかるはず。
from Harper's BAZAAR US