「夢を発見したり諦めなかったりすること伝えなければ」…阪神・藤川監督、故郷の高知に活気与える
高知県安芸市で17日まで行われた阪神の秋季キャンプは、大勢の観客でにぎわった。同県出身の藤川監督目当ての地元ファンに加え、球団側もファンサービスを兼ねた紅白戦や野球教室を実施。そこには、人口減少が進む地方を盛り上げたいと願う新監督の思いがある。
キャンプ中、週末には紅白戦が組まれ、主力の佐藤輝や中野らが出場。約5700人が訪れた9日は駐車場が朝から満車になり、外野席が急きょ開放された。連日、球場は活気にあふれ、同県安田町の女性(80)は「久しぶりに地元がにぎわっている」と喜んだ。
昨年の高知県の人口増減率は1・37%減。全国で減少率は5番目に高かった。藤川監督は就任時から「人口減少が進む中、スポーツから元気を与え、夢のある世界を広げないといけない」と訴え、野球による地域貢献を念頭に置いてきた。
自身、米大リーグ挑戦を経て、2015年に独立リーグの四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグス(FD)に入団。高知商高で指導にあたった正木陽さん(63)は「その頃から、高知の野球に貢献したいと話すようになった。(人気のある)大リーグや阪神を経験し、人通りの少ない地元に思うところがあったのでは」と語る。
10日は高知FDと連携し、野球教室を開催。約60人の子どもが佐藤輝らの指導を受け、打撃練習では「(打球が)飛んだね」という選手の声に目を輝かせた。高知市の小学2年の児童は「緊張したけれど楽しかった。これからも野球を続けたい」と笑顔を見せた。
藤川監督は「(スポーツを通じて)夢を発見したり、諦めなかったりということを少しでも伝える義務があるし、伝えなければいけないと思う」と話し、今後も同様の活動に取り組む考えを示した。(豊嶋茉莉)