【新NISAプロの助言】オルカンは間違いないが… 金融アドバイザー「IFA」をおススメする理由 羽生祥子
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)。プロはどのように活用しているのだろうか。「日経マネー」副編集長を経て「日経xwoman(クロスウーマン)」などを創刊し、編集者としてマネー関連の書籍も多数手がけてきた羽生プロの羽生祥子代表に、新NISAの活用法について聞いた。 【写真】上空から見ると「円」の形だった日本銀行の建物はこちら 「実は、新NISAの投資枠をどう活用するかは、まだ検討中なんです。私は長女が生まれたときからずっと、セゾン投信の『セゾン・グローバルバランスファンド』を月々10万円ほど積み立ててきました。月10万円はちょっとした金額ですが、夫と共働きということもあり、17年ほど続けています」 セゾン投信は当時としては手数料や信託報酬が非常に安かったため、しっかり積み立てて複利で膨らませることだけを考えてきたという。 ■毎月の積み立てを徹底 「積み立ての目的は教育資金です。でも、利益確定して教育費にするのではなくて、時間をかけて積み立てれば利益ぶんだけで教育費のかなりの部分をまかなえる計算です。新NISAにしても、短期的に稼ぐというより、毎月しっかり積み立てていくこと。まずはこれを徹底したほうがいいんじゃないかと思います」 羽生さんは、投資で大儲けしようという考えではなく、全世界タイプの投資信託でリスクを分散し、できるだけ確実に増やしていく投資スタイル。月10万円を年利5%で運用したとすると、10年で元金1200万円が1553万円に、子どもが大学に入学する年齢にあたる18年なら2160万円が3492万円になる計算だ。利益だけで約1300万円になるのだから、私立大学の入学金や4年間の学費でも十分にまかなえる(私立大学の学費は一般的に総額400万~500万円程度とされる)。
「これは、実質タダで子どもを大学に行かせられるということです。都内であれば高校の学費の実質無償化も始まりましたし、最近は医療費が高校生まで(自己負担)ゼロだったりもします。ちゃんと積み立てておけば、教育費はそこまで大変なものではありません」 そんな羽生さんは、新NISAではどんな活用法を考えているのだろうか。 「何を買うのかと言われれば、やっぱり『eMAXIS(イーマクシス) Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(通称・オルカン)が手数料も安いし、全世界投資できるシンプルな商品なので、これを外すのは変といってもいいくらいですよね。でも、これからは自分の収入や人生計画にもっと合う投資スタイルを見つけたいと思っていて、Independent Financial Advisor(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー、IFA)に相談することを考えています。IFAというのは、証券会社・銀行などに所属せず、独立して投資家に資産運用のアドバイスを行う金融アドバイザーのこと。金融機関の立場や思惑とは関係なく、中長期の運用を考えて中立的な助言をしてくれるんです」 ■単純なことにはならない 買うのならオルカンが間違いないと言いつつ、今から新たに始めるならIFAとしっかり話し合って投資方針を決めたいという羽生さん。それはなぜなのか。 「IFAって資産運用に特化したライフプランナーみたいなものなので、自分だけでなく子どもや親など家族の年齢・状況もお伝えして、私自身がこれから何年くらい働くのか、いくらくらい稼ごうと思っているのか、そういうキャリアプランもすべて込みで資産運用の方針を決めるんです。人生の中盤までの基礎的な資産形成ができた後は、『オルカンを買っておけばそれでいい』みたいな単純なことにはならない。後学のためにも金融のプロフェッショナルに話をしっかり聞いてみたいと考えています」 手堅さと戦略性をあわせ持つ投資スタイルといえそうだ。 羽生祥子(はぶ・さちこ)/京都大学卒業。編集工学研究所で松岡正剛に師事、「千夜千冊」に関わる。2005年現・日経BP入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL(当時)」を創刊し編集長。18年「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。22年羽生プロ代表取締役社長。内閣府少子化対策大綱検討会委員、お茶の水女子大学非常勤講師などを歴任。1男1女の母。