渡邊雄太が高校生に示した世界レベルの“基礎” ベスト8延岡学園の目に焼き付いた練習姿勢【ウインターカップ】
SoftBank ウインターカップ2024
バスケットボールの第77回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2024」は27日、東京体育館で男子準々決勝が行われ、延岡学園(宮崎)が鳥取城北(鳥取)に45-85で敗戦した。夏のインターハイは初戦敗退に終わったが、今大会はベスト8と躍進。メインコートまで辿り着いた背景には、元NBA選手の渡邊雄太(千葉ジェッツ)から直接学んだ教えがあった。 【動画】「審判の対応もいいですね!」 渡邊雄太を見つけた選手が取った珍行動 諦めずに声を張り続けた。第1クォーター(Q)から7-24と相手にペースを掴まれた延岡学園。第2Qは20-24と盛り返すも、なかなか逆転の糸口を見い出せなかった。40点差の大敗。3人いる主将の1人・大津山晃崇(3年)は「気持ちが折れかけた頃もあったが、延岡学園を背負っているので、最後まで自分たちのプレーを貫いてコートでは笑顔でやろう」と仲間を鼓舞し、全力を出し尽くした。 望んでいた終わり方ではなかった。ただ、全国のベスト8に入り、東京体育館のメインコートに立った。楠元龍水監督は、九州大会やインターハイで1勝もできず、県予選でも苦戦続きだった軌跡を回顧。「そんな勝てていないチームが準々決勝まで駒を進めてここに来られる。『あ、俺らでもやれるんじゃないか』という勇気や感動を与えられているのではないか」と教え子たちの成長をたたえた。 初戦敗退に終わったインターハイの後、見直したのがディフェンスの強度。大津山は「(今大会の)1~3回戦は相手からスティールしたり、ターンオーバーを誘発できた。やっぱり夏のハードなディフェンス練習が実ったかなと思っている」と振り返る。具体的に意識したのが「声」と「運動量」、そして「手を出すこと」。お手本になったのが、楠元監督と尽誠学園でチームメートだった渡邊だ。
目に焼き付けた渡邊雄太の練習強度
渡邊は毎夏、同級生の楠元が教える延岡学園を訪問しているという。NBA経験者の練習を間近で見た大津山はその強度に驚いた。「ローテーションのところのコミュニケーションは、声を出さないと世界ではプレーできないと教えてもらった。運動量や、手をずっと上げっぱなしにしてパスコースを消すハードワークを目に焼き付けた」。世界レベルの選手がどれだけ基礎を徹底しているかを知った。 練習で手が下がれば「渡邊選手はああいう強度でやってたぞ!」と監督から喝が飛ぶ。泥臭くプレーしていた憧れのスターの姿を思い出し、重たくなった腕をまた持ち上げた。その積み重ねで辿り着いたメインコート。3回戦に引き続いてこの日も応援にかけつけた渡邊に勝利を届けることはできなかったが、大津山は「ここで保護者や沢山の観客の前でプレーできてとても嬉しい」と胸を張った。 楠元監督は「僕と雄太との関係性で大事にしているのは、どれだけ結果が出なかったとしても、自分たちが正しいと思っている信念でやり続ける。努力が必ず報われるほど甘くはないのはわかっていながらも、それでも……という継続の部分で彼とは共鳴し合っていると思っている」と明かす。なかなか結果が出なかった1年。泥臭く努力を重ねて掴んだベスト8は、必ず未来に繋がるはずだ。
THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku