「ウクライナ解決」巡って業績争い…トランプ氏を意識したバイデン氏の「妨害」(1)
ウクライナ戦争を巡って米国の2人の大統領が対立する様相だ。ジョー・バイデン大統領が戦争勃発以降2年9カ月間ダブー視してきたミサイル射程距離を解除して対人地雷供給にまで出ると、ドナルド・トランプ次期大統領側は弾劾にまで言及して強く反発している。政権交代までわずか2カ月余り残して、バイデン氏の「国際主義」とトランプ氏の「孤立主義」という2つの外交路線が正面から衝突している。一部ではトランプ氏が経験のない若手強硬忠誠派を外交安保の要職に座らせることに不安感を感じたバイデン陣営の一種の妨害措置という分析まで出ている。 これに先立ち、米国メディアは米国がウクライナに支援した戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」の射程距離制限(最大射程距離300キロメートル)をバイデン大統領が解除するのに同意したと伝えた。事実上、ロシア本土に対するミサイル攻撃を許可した格好だ。続いて19日、ワシントン・ポスト(WP)は複数の米政府関係者を引用して「バイデン大統領がウクライナに対人地雷供給を承認した」と報じた。 2つの措置はともにこれまでバイデン政府が戦争の拡大を懸念してウクライナの根気強い要請にもかかわらず首を立てに振らなかった事案だ。このように公式に確認されなかった敏感な情報が米政府関係者発として相次いで出てきているが、ホワイトハウスと国務・国防総省は関連事実を否定せず既成事実として受け入れる雰囲気だ。 特に対人地雷の場合、2年前バイデン大統領が「韓半島(朝鮮半島)以外の地域では使用を全面禁止する」と公言した事案だ。このように本人の所信を覆してまでウクライナ軍事支援に没頭するのは、トランプ政権発足前に戦況に変化を与えるためのものだという解釈が出ている。そうしてこそウクライナが停戦または終戦協定で有利な立場に立つことができるからだ。 ◇「バイデン氏、残りの任期の間の最善策」 専門家の間では「バイデン政府が残りの期間にできる最善」という分析も出ている。梨花(イファ)女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「トランプ政権になってウクライナとロシアが停戦交渉に入ってもすぐには結論が出てこないだろう」としながら「(米国の軍事支援で)ウクライナ軍がロシア領土であるクルスクを最大限確保してこそ、交渉を通じて奪われた領土(ウクライナ東部地域)を返してもらえる余地がある」と指摘した。 実際、ATACMSミサイルや対人地雷はすべてクルスク攻防戦に投入される可能性が高い。クルスク戦場に北朝鮮軍が投入されて気勢が上がったロシアの攻勢を遮断する効率的な手段だからだ。 ところで対人地雷を埋設すればロシア軍の進撃を遅らせることはできるが、同時に該当地域の民間人被害を誘発するなど人道的な問題が発生する可能性がある。これは米国が1991年湾岸戦争以降、韓半島を除く地域でごく少数事例を除いて対人地雷を使ってこなかった理由だ。 これに関連して、朴教授は「これまでバイデン政府は軍縮でも『価値観外交』を重要視してきたが、トランプ氏の再登場で焦りが見られ始めた」とし「さらに深刻な毀損を防ぐために一定部分で手を入れる必要があると判断したはずだ」と指摘した。民主主義を強調する価値観外交を標ぼうし、反ロシア戦線の求心点に立ったバイデン氏が、退任前に自身の「業績」を固めるという側面でこのような決定を下したということだ。